スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 3月3〜8日にカタール・ドーハで行われたITTFワールドツアープラチナ・カタールオープンで、樊振東が男子シングルス優勝、陳夢が女子シングルス優勝など、5種目中4種目を制した中国チーム。男子シングルスで許シンがピッチフォード(イングランド)、林高遠(中国)がサムソノフ(ベラルーシ)に敗れ、女子シングルスでは丁寧が伊藤美誠(スターツ)に完敗を喫するなど、主力選手の敗戦もあったものの、25回目を迎えたカタールオープンで男女シングルスのタイトルは死守した。

 2月上旬からスタートしたドーハでの集合訓練は1カ月に及び、卓球用品も不足。当初は多球練習用のボールさえ地元のクラブから借りたほどだ。もともとドイツオープン後に帰国する予定だった選手たちも、中国から持ってきた用具が少なく、悪戦苦闘。樊振東は卓球シューズを2足しか持ってきておらず、1足は大会用にキープして残り1足を穴が空いても履き続けたと報道されている。

 中国チームはカタールオープンの開幕直前、「カタールオープンでの獲得賞金は、すべて湖北省武漢市での防疫活動に寄付する」と発表。その言葉どおり、男女シングルスの優勝賞金44000ドル(約460万円)をはじめとするすべての獲得賞金を寄付。さらに右ひじの故障により、カタールオープンを欠場した劉詩ウェンも、女子シングルスの優勝賞金と同じ額を寄付したという。寄付金の総額は24万6900ドル、日本円にして約2570万円に達した。

 カタールオープンの終了後、帰国してもともと2月に集合訓練を行う予定だった海南島に入るという報道もあった中国チーム。しかし、実際には今もまだカタールに滞在している。中国卓球協会の機関紙である『ピンパン世界』に今後の見通しを聞いてみたところ、「集合訓練を行う場所はまだ未定で、全力を尽くして要件を満たす場所を探している。帰国するのはまだ難しいかもしれない」という。

 彼らが滞在しているカタールでさえ感染が広がりつつある中、総勢40名を超える中国チームの受け入れ先を見つけるのは容易ではない。帰国できない選手たちのストレスはいかばかりか……。
  • カタールオープンの男子シングルスを制した樊振東(提供:ITTF)