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中国リポート

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 来年の東京五輪・卓球競技と全く同じ種目・タイムテーブルで行われる、『備戦東京』エキシビションマッチ。女子シングルスは故障を抱えた丁寧・劉詩ウェンと、体調不良の朱雨玲が欠場し、大きな波乱のないままラウンドが進む中、決勝で孫穎莎と王曼昱が激突。1ゲーム目に孫穎莎が1−6、4−8、8−10のビハインドから逆転すると、王曼昱も後のないゲームカウント0−3から2ゲームを返し、6ゲーム目には8−10から孫穎莎のマッチポイントを4回も跳ね返す。最終ゲームも中盤まで一進一退だったが、最後に抜け出した孫穎莎が混合ダブルスとの2冠を達成した。

 孫穎莎と王曼昱。宿命のライバル同士による女子シングルス決勝は、「全弾撃ち尽くす」と形容したくなる、目を疑うほどの打撃戦。中国に行くのが困難な状況とはいえ、この試合を映像でしか見られないのが残念だ。男子シングルス決勝の梁靖崑対王楚欽戦は、激しい打撃戦の中にも梁靖崑の戦術のうまさが光っていたが、女子シングルス決勝はまさにノーガードの打ち合い。互いにチキータと長いツッツキから、両ハンドの剛球を打ちまくった。2017年の世界ジュニア選手権決勝で、やはり孫穎莎と王曼昱によるジュニアレベルを超越したラリー戦に息を呑んだが、今回の両選手のプレーはその数段上を行く。

 この女子シングルス決勝では、プレーする孫穎莎以上にベンチから声を出していた、孫穎莎の担当コーチ・黄海城もちょっとした話題になった。黄海城コーチはもともと広東省チームの選手で、国家チームでプレーした経験はない。広東省女子チームの監督時代に指導した劉詩ウェンの国家2軍チーム入りとともに、国家チームの指導陣に加わった。もともと担当していた陳夢に加え、孫穎莎の担当コーチだった張琴が昨年国家チームを離れたことで、現在は陳夢と孫穎莎という中国女子のキープレーヤーふたりを担当している。一方、王曼昱のベンチに入ったのは、男子チームのコーチ時代に張継科を担当していた肖戦だ。

 ちなみに今回の『備戦東京』は、集合訓練でのエキシビションマッチとして開催されており、集合訓練前に母体の省チームに戻った選手たちは、新型コロナウイルス対策のためにホテルで1週間の隔離期間を置いてから合流している。これは取材するメディアも同じで、取材するためには1週間の隔離期間が必要だという。数少ない取材者のひとりで、大会の写真を送ってくれる雑誌『ピンパン世界』の辺玉翔カメラマン曰く、「こういう状況だからしかたないけど、さすがに取材するメディアはほとんどいない」とのこと。一方、試合の模様はCCTV(中国中央電視台)の公式サイトで配信されており、中国国内ではリアルタイムで視聴することができる。図らずも、エキシビションマッチの新しいスタイルとなった。

●女子シングルス・予選グループ(順位のみ/1位の選手は決勝トーナメント進出)
A:1.李雅可 2.楊惠菁 3.徐奕
B:1.王添芸 2.陳イ 3.李雨チィ
C:1.斉菲 2.王暁トン 3.穆静毓
D:1.石洵瑶 2.臧小桐 3.呉洋晨
E:1.孫芸禎 2.陳可 3.クァイ曼
F:1.黄頴チィ 2.楊屹韻 3.冷雨桐
G:1.郭雨涵 2.袁媛 3.張繽月
●予選第2ステージ(グループ2位の選手によるトーナメント)
王暁トン 4−3 楊屹韻  陳イ 4−0 張繽月
楊惠菁 4−1 臧小桐   陳可 4−0 袁媛
※王暁トン、陳イ、楊惠菁、陳可は決勝トーナメント進出

●女子シングルス・決勝トーナメント1回戦
陳夢 −10、7、−8、5、5、8 李雅可
斉菲 −9、14、−7、10、−11、9、10 李佳イ
范思チィ 11、12、7、7 木子
銭天一 −8、10、9、−8、12、8 陳可
顧玉ティン 10、5、4、−4、−8、8 王添芸
劉ウェイ珊 8、5、8、6 黄頴チィ
王曼昱 8、7、11、5 劉㬢
孫銘陽 9、−7、4、9、10 車暁㬢
石洵瑶 −6、10、9、5、4 馮亜蘭
王芸迪 −7、5、4、−11、7、4 胡麗梅
陳幸同 −9、3、7、10、9 孫芸禎
張瑞 8、−7、9、−6、6、8 楊惠菁
何卓佳 3、11、2、8 郭雨涵
劉斐 6、9、5、−12、−10、−9、9 王暁トン
孫穎莎 8、8、4、9 武楊
陳イ −10、8、9、10、−11、−7、8 張薔

●2回戦
陳夢 −7、−7、5、8、5、8 范思チィ
銭天一 5、7、−8、6、6 斉菲
王曼昱 6、−9、8、10、7 孫銘陽
顧玉ティン 8、−13、7、8、5 劉ウェイ珊
王芸迪 4、11、11、5 石洵瑶 
陳幸同 3、11、7、11 張瑞
孫穎莎 9、−12、7、5、8 陳イ
劉斐 −6、−6、7、6、−3、8、9 何卓佳

●準々決勝
陳夢 3、5、5、7 銭天一 
王曼昱 3、2、8、−9、−8、8 顧玉ティン
王芸迪 −8、8、7、−9、7、10 陳幸同
孫穎莎 7、7、6、2 劉斐
●準決勝
王曼昱 7、−11、8、−8、8、6 陳夢
孫穎莎 9、9、7、−4、7 王芸迪
●3位決定戦 王芸迪 −11、7、−1、12、−7、6、9 陳夢
●決勝 孫穎莎 10、9、12、−6、−8、−13、6 王曼昱

※写真提供:『ピンパン世界』
  • 女子単決勝、0−3から追いつかれながらも最後まで打ち切った孫穎莎

  • 小柄ながら、すさまじいフォアのパワードライブを連発

  • 孫穎莎と王曼昱(手前)、これからも数多くの名勝負を繰り広げるだろう