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中国リポート

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 9月17日、中国卓球協会の訓練基地(トレーニングセンター)および青少年培訓基地(青少年育成トレーニングセンター)が、山東省威海市の南海新区オリンピックセンター内に誕生した。オープニングセレモニーには中国卓球協会の劉国梁会長をはじめ、国家チームのコーチ陣や選手が揃って出席した。

 オリンピックも開催できる規格のメインホールにトレーニングセンター、ジュニア選手用のトレーニングセンターとホテルが一体となったこの訓練基地。このような卓球専門の訓練基地は中国全土にあり、第1号である湖北省黄石市の訓練基地(1987年完成)をはじめ、河北省石家荘市正定県、黒龍江省大慶市、広東省仙頭市、福建省厦門市、浙江省寧波市、江蘇省通州市、四川省成都市など枚挙にいとまがない。国際大会は沿岸部の海洋性気候の都市で行われることが多いため、中国でも海沿いの都市に建設されることが多い。

 オープニングセレモニーに出席した国家チームの選手たちは、そのまま訓練基地での集合訓練に入る。以前の中国リポートでは、10月まで海南省で集合訓練を続けるとお伝えしていたが、この威海の訓練基地に移動し、現地で行われる11月8〜10日の女子ワールドカップ、11月13〜15日の男子ワールドカップに備えるという。都市の中心部ではなく、沿岸部の新興開発区にある訓練基地なら、出場選手や関係者が外部の人間と接触しない「バブル」での大会開催もよりスムーズになる。残念ながらメディアの取材はNGだ。

 海外選手は中国への入国後に1週間の隔離期間が設けられるなど、出場に際して様々な障害を乗り越えなければならない。一方、中国選手は集合訓練を行いながら悠々と大会を迎えることができる。公平とはいえない状況だが、中国でなければワールドカップクラスの国際大会を実施するのは難しいというのも、また事実だろう。
  • 新たな訓練基地を「世界的に見ても最高水準のトレーニングセンター」と評した劉国梁会長

 9月15日、1963年世界選手権プラハ大会の男子ダブルスチャンピオンで、中国女子チームの監督も務めた王志良が80歳で逝去した。

 王志良は河北省保定市の出身で、1958年に天津市チームの一員となり、同年に国家チーム入り。当時としては珍しいシェークカット型の選手で、63年世界選手権ではペンカット型の張燮林とダブルスを組んで優勝。中国男子で世界選手権・個人戦のタイトルを獲得したシェークカット型を探してみると、この王志良と77年バーミンガム大会男子複優勝の梁戈亮(李振恃とのペア)がいるが、梁戈亮は一時攻撃型にも転向したオールラウンダー。純粋なシェークカット型は王志良だけだと言えるかもしれない。

 ちなみに70年代以降の中国選手が用いた、両面に同色(黒)のラバーを貼って反転させて出す「同色反転サービス」は、王志良が考案したと言われている。現役引退後は指導者の道に進み、1971年世界選手権名古屋大会では中国女子チームの監督として来日。女子団体では地元・日本にタイトルを譲ったが、女子シングルス・ダブルス・混合ダブルスの3種目で中国がタイトルを獲得。女子シングルス優勝は林慧卿、女子ダブルス優勝は林慧卿/鄭敏之といずれもシェークカット型の選手で、混合ダブルスを制したのは元ダブルスパートナーの張燮林と林慧卿のペアだった。

 中国女子チームの監督を退任した後は、文化大革命による混乱を避けて香港に移住し、多くの選手を指導した王志良。中国リポートの『中国卓球人国記』で、ちょうど河北省男子編を書いていたところで思わぬ訃報に触れた。謹んで哀悼の意を表します。
  • 63年世界男子複王者の王志良。写真は61年大会のコンソレーションマッチで優勝した時のもの

 14日間に及ぶ『備戦東京』エキシビションマッチが閉幕し、再び海南省陵水での集合訓練へと戻った国家チーム。大会前に発表された規定により、『備戦東京』男女シングルスでベスト16以上に入った国家男女2軍チームのメンバーは、1軍チームへと昇格した。ベスト16に入ったのは以下の男女4選手。

●男子
全開源 19歳 遼寧省チーム所属 右シェークドライブ型
○女子
斉菲  19歳 天津市チーム所属 右ペンホルダードライブ型
石洵瑶 19歳 江蘇省チーム所属 右シェークドライブ型
陳熠  16歳 浙江省チーム所属 右シェークドライブ型

 男子で1軍チーム入りを果たしたのは全開源。予選グループで劉丁碩(15年世界ジュニア優勝)、決勝トーナメント1回戦で向鵬(19年世界ジュニア優勝)に勝利。2回戦でも許シンから1ゲームを先取した。2016年12月の国家2軍チーム入りからなかなか1軍に上がれなかったが、ようやくつかんだチャンス。スタイルはオーソドックスな右シェークドライブ型なので、もう少し特徴がほしいところ。

 一方、女子では16歳の陳イが1軍チーム入り。決勝トーナメント1回戦で張薔(右ペンドライブ型)をゲームオールで破った。昨年の世界ジュニアで初めてプレーを見たが、非常に脚が長く、アスリートタイプの体型。小さい頃は病気がちで、卓球好きの父親の影響で卓球を始めたという。出身は浙江省杭州市だが、上海にある中国卓球学院で腕を磨いた選手だ。これからパワーがついてくると怖い存在。

 19歳の斉菲は、天津市チーム所属の右ペンドライブ型。16年全中国選手権で陳夢から3−1とリードを奪い、あと一歩まで追い詰めた。中国女子の若手のペンドライブ型では、1歳年下の呉洋晨(19年世界ジュニア代表)がいるが、相手に打たせてカウンターを狙うスタイルの呉洋晨に対し、斉菲は大きく曲がる順横回転サービスから両ハンドをグイグイ振る攻撃的なスタイル。貴重なペンホルダーとして楽しみな存在だ。もうひとりの19歳、石洵瑶(16年世界ジュニア女王)はT2でもプレーした、日本でもお馴染みの選手だが、上位に食い込むにはより速い攻めが必要か。

 また、8月25日には中国卓球協会の劉国梁会長の決定として、郭雨涵(18歳)・蒯曼(16歳)・李雅可(18歳)・王暁彤(19歳)という女子2軍チームの選手たちを、引き続き1軍チームの集合訓練に帯同させることが報道された。郭雨涵と李雅可は北京市チーム、蒯曼は江蘇省チーム、王暁彤は山東省チームの所属。蒯曼は陳熠と同じ16歳で、昨年の世界ジュニアではともに代表入りを果たした有望株だ。実力的にはまだ1軍チームの上位クラスとは開きがあるが、若手選手を多く入れて1軍チームを活性化させるのが狙いか。

 『備戦東京』を欠場した丁寧・劉詩ウェン・朱雨玲のうち、丁寧は8月26日から甘粛省敦煌市での李寧(Li-Ning)の創立30周年記念イベントに参加。海南での国家チームの集合訓練は10月まで行われる予定だが、中国では女子1軍チームの集合訓練の名簿が流出し、「丁寧・劉詩ウェン・朱雨玲の名前がない!」と波紋を呼んでいる。1年延期された東京五輪を前に、中国女子は本格的に世代交代へ舵(かじ)を切ったのか。近年の五輪代表選考では経験を重視してきただけに、今しばらく事態を見守る必要があるだろう。
  • 八頭身プレーヤーの陳熠。上半身だけですが……

  • 「丁寧2世」とも言われる蒯曼(クアイ・マン)

 8月21日、海南省陵水で行われていた『備戦東京』2020中国卓球チーム・オリンピックエキシビションマッチが閉幕。少々遅くなってしまいましたが、21日に決勝が行われた男子団体の詳報をお伝えします。

 男子団体優勝は、東京五輪への出場が確定的だった中国男子のトップ3、馬龍・樊振東・許シンで構成された男子一団。改めて健在をアピールしたのは馬龍だ。首を傷めて男子シングルスを欠場し、男子団体1回戦からの出場となったが、初戦から貫禄のプレー。決勝の男子二団戦では、3番で北京市チームの後輩・王楚欽のチキータからの両ハンド強打を見事にさばいた。攻撃力なら中国男子でもトップクラスの王楚欽。少しでも浮いたボールは一発で持っていかれてしまうが、その強打のプレッシャーを微塵も感じさせない安定したレシーブはさすが。回り込んで放つパワードライブの威力と精度も失われていない。

 2018年の後半から左ひざの故障が悪化し、19年世界選手権個人戦で3連覇を達成した後、夏には手術を受けた馬龍。その左ひざには手術の痕がくっきりと残っている。すでに31歳という年齢で、五輪の1年延期はモチベーションに与える影響も相当大きいはずだが、「体はここ2年くらいで最も良い状態。年齢についてはあまり考えすぎないようにしている。競技スポーツで注目されるのは、年齢よりも能力と結果だからね」とコメント。競技人生のフィナーレを迎えるまでは、まだ後進に道を譲るつもりはないようだ。

 男子一団の残るふたり、許シンと樊振東については「実力どおり」というプレーか。許シンは混合ダブルスから3種目を戦うと、さすがに疲労の色が隠せなかった。中国としては対外的な強さで言えば、五輪の男子シングルスには馬龍と許シンを選びたいところだが、全身に故障を抱える許シンの3種目起用はかなりリスクがある。一方、樊振東は昨年12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルで優勝した時は、バックサイドは得意のバックドライブを生かすことに徹し、フォアを突かれても前陣での飛びつきで対応。「競技人生のピークが近い」と感じるほど強かったが、『備戦東京』ではフォアハンドの迫力不足を感じた。

 その他のチームで活躍が目立ったのは、準々決勝で方博・于子洋・薛飛の男子五団を破った男子九団の活躍。世界ジュニア代表の経験がある右シェークドライブ型の于何一に、同じく右シェークドライブ型の賽林威と左シェークドライブ型の曹巍という顔ぶれ。男子五団戦のラストで、方博にゲームオール8−10から逆転勝ちした賽林威は、国家チームでは珍しい陝西(せんせい)省出身のプレーヤー。両ハンドの柔軟なボールさばきが身上で、今回の活躍は大きな自信になるだろう。一方、最終ゲーム10−8のマッチポイントを決められなかった方博は元気がない。28歳という年齢で東京五輪への道も閉ざされ、ベストなプレーをしろと言うのは酷だろうが……。男子団体1回戦の結果は下記のとおり。

●男子団体1回戦
〈男子一団 3−0 男子十四団〉
○許シン/樊振東 6、3、7 陳垣宇/林詩棟
○馬龍 5、9、−13、7 曽ベイ勲
○樊振東 5、4、8 林詩棟

〈男子六団 3−1 男子十団〉
○孫聞/張煜東 −9、−8、6、9、7 劉夜泊/全開源
○周愷 5、4、6 梁国棟
 張煜東 12、5、−7、−8、−9 全開源○
○周愷 8、−9、5、−5、9 劉夜泊

〈男子十一団 3−2 男子七団〉
○厳昇/袁励岑 3、8、−6、−10、6 向鵬/徐海東
 楊碩 −5、−10、7、−7 鄭培峰○
○袁励岑 7、10、−6、5 徐海東
 厳昇 −12、−4、−9 鄭培峰○
○楊碩 6、10、−6、−9、8 向鵬

〈男子四団 3−0 男子十五団〉
○周雨/趙子豪 9、10、11 熊夢陽/陶育暢
○馬特 9、−10、9、5 孫佳逸
○趙子豪 7、−14、9、6 陶育暢

〈男子五団 3−1 男子十二団〉
○方博/于子洋 8、6、−4、3 曹彦涛/高楊
 薛飛 −10、−10、−5 牛冠凱○
○于子洋 11、−11、7、7 高楊
○方博 6、6、−4、9 牛冠凱

〈男子九団 3−1 男子八団〉
○于何一/曹巍 4、9、−9、10 趙釗彦/徐瑛彬
○賽林威 −7、−9、5、9、6 任浩
 曹巍 10、−8、−12、−7 徐瑛彬○
○于何一 6、−5、7、1 任浩

〈男子三団 3−0 男子十三団〉
○閻安/周啓豪 4、4、−8、8 宋卓衡/謝聡凡
○劉丁碩 7、6、5 梁儼苧
○周啓豪 6、5、12 謝聡凡

〈男子二団 3−0 男子十六団〉
○梁靖崑/王楚欽 1、12、15 張超/崔慶磊
○林高遠 2、8、3 侯英超
○梁靖崑 3、10、7 張超

●男子団体準々決勝
〈男子一団 3−0 男子六団〉

○馬龍/許シン 7、4、4 孫聞/張煜東
○樊振東 −8、12、5、12 周愷
○馬龍 4、4、−12、9 孫聞

〈男子四団 3−0 男子十一団〉
○周雨/趙子豪 −6、7、−6、4、5 厳昇/袁励岑
○馬特 −6、5、8、5 楊碩
○趙子豪 4、1、−7、8 袁励岑

〈男子九団 3−2 男子五団〉
○于何一/曹巍 9、10、5 方博/于子洋
○賽林威 −13、−7、9、3、3 薛飛
 曹巍 −8、7、−5、−5 于子洋○
 于何一 −8、−7、−13 薛飛○
○賽林威 6、−8、−9、5、11 方博

〈男子二団 3−0 男子三団〉
○梁靖崑/林高遠 6、−5、9、5 閻安/周啓豪
○王楚欽 −8、5、6、9 劉丁碩
○林高遠 −8、6、−5、9、3 周啓豪

●準決勝
〈男子一団 3−0 男子四団〉

○馬龍/許シン −8、5、4、7 周雨/趙子豪
○樊振東 5、−10、5、10 徐晨皓
○馬龍 4、5、2 趙子豪

〈男子二団 3−1 男子九団〉
 梁靖崑/林高遠 −5、5、−5、−5 曹巍/于何一○
○王楚欽 9、−14、6、6 賽林威
○梁靖崑 7、6、7 于何一
○王楚欽 4、−6、6、2 曹巍

●3位決定戦
〈男子四団 3−1 男子九団〉

 徐晨皓/趙子豪 −10、−4、−9 曹巍/于何一○
○馬特 10、−10、9、5 賽林威
○趙子豪 8、5、−2、−10、11 曹巍
○徐晨皓 5、11、−9、8 賽林威

●決勝
〈男子一団 3−0 男子二団〉

○馬龍/許シン 7、5、9 梁靖崑/王楚欽
○樊振東 −8、3、8、6 林高遠
○馬龍 12、6、−12、7 王楚欽

※写真提供:『ピンパン世界』
  • 馬龍はまだまだ強い。総合力ではやはり中国男子No.1

  • 樊振東は決勝で林高遠に勝利

  • 梁靖崑(右)/王楚欽は馬龍/許シンに完敗

  • 実戦さながら、男子一団のベンチに秦志戩監督が入った。少々お疲れの許シン

  • 優勝後、インタビューを受ける男子一団の3人。「やっと終わった…」という感じ?

 東京五輪・卓球競技を想定した『備戦東京』エキシビションマッチは、本大会の日程と同様、女子団体が1日早く8月20日に終了。陳夢・孫穎莎・王曼昱がチームを組んだ「女子一団」が4試合で1点も落とさず、オールストレートで優勝を達成した。孫穎莎はついに女子団体・シングルス・混合ダブルスの3冠を獲得した(記録はページ下部に掲載)。

 前々回の中国リポート(2020/08/19)でもお伝えしたが、団体戦は女子二団が仮想・日本、女子三団が仮想・韓国というように、五輪代表候補の「一団」以外は主要なライバルチームと同じプレースタイルの選手で構成されている。その中で、女子一団は準々決勝で仮想・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の女子四団、準決勝で仮想・韓国の女子三団、そして決勝で仮想・日本の女子二団に完勝。初戦だけ孫穎莎/王曼昱のダブルスを起用し、準々決勝からの3試合は、陳夢/王曼昱のダブルスに孫穎莎のシングルス2点起用。プレッシャーのかかる2番シングルスで、孫穎莎に最後の試練を与えた感のあるオーダーだった。

 決勝で仮想・伊藤美誠の孫銘陽に対し、1ゲーム目を落としながらも逆転した孫穎莎は、試合後に「試合前から本当にこの試合はオリンピックの決勝なんだと思って準備をしてきたし、相手のことも本当に日本チームだと思って戦いました」とコメント。「これからの1年、試合で得た教訓をしっかり総括して、困難への準備をしっかり進めていきたい」(孫穎莎)。ハイレベルな部内対抗のエキシビションマッチでの3冠は、国家チームの首脳陣に対しても「満点回答」。シングルスでは対カットの圧倒的な強さを見せ、決勝の王曼昱戦の最終ゲームでは精神的な強さも見せ、団体ではシングルスで確実に得点を叩き出した。

 来年の東京五輪の中国女子代表3名は、今回の『備戦東京』を終えてどう変化したのか。2020年に東京五輪が予定どおり行われていたら、中国女子代表3名は丁寧・劉詩ウェン・陳夢の3人になっていた可能性が高く、一方で2024年にパリ五輪が無事開催できるとしたら、代表3名は『備戦東京』と同じ陳夢・孫穎莎・王曼昱で問題ないだろう(朱雨玲の復活も期待してます)。その狭間、世代交代の真っ直中にある2021年の代表選考は難しい。

 現時点では劉詩ウェンが混合ダブルスと団体、陳夢と孫穎莎がシングルスと団体に出場するのが、中国女子の戦力値としては最も高いようにも思える。すでに2016年リオ五輪を経験し、百戦錬磨の劉詩ウェンに混合ダブルスを託して確実なスタートを切り、シングルスは「対伊藤美誠」で最も分が良い陳夢と、最も勢いのある孫穎莎が出場。団体は19年ジャパンオープン優勝の劉詩ウェン/陳夢のダブルスに、孫穎莎のシングルス2点起用で一気に押し切る。また、孫穎莎を今回の『備戦東京』と同じように3種目にエントリーすれば、五輪史上初の3冠達成の偉業も夢ではない。

 このシナリオは劉詩ウェンの右ひじの回復状況にも左右されるだろう。そして卓球史に名を残す女王・丁寧に、最後の五輪の舞台で有終の美を飾ってほしいという思いもある。世界の卓球界が停滞し、沈黙する中で、時だけが無情に流れてゆく。

●女子団体1回戦
〈女子一団 3−0 女子十団〉

○孫穎莎/王曼昱 7、−7、3、5 斉菲/臧小桐
○陳夢 4、7、3 陳イ
○王曼昱 5、9、−10、7 斉菲

〈女子四団 3−0 女子十一団〉
○張瑞/陳可 −9、4、7、−9、8 呉洋晨/李雅可
○何卓佳 7、9、5 張繽月
○陳可 8、4、8 李雅可

〈女子五団 3−0 女子十二団〉
○李佳イ/劉㬢 7、11、5 冷雨桐/李雨チィ
○胡麗梅 8、−10、6、10 黄頴チィ
○劉㬢 −6、5、7、8 李雨チィ

〈女子七団 3−0 女子十四団〉
○張薔/范思チィ 9、10、−3、−10、8 穆静毓/孫芸禎
○武楊 7、5、2 王添芸
○范思チィ 7、5、11 孫芸禎

〈女子八団 3−0 女子十三団〉
○馮亜蘭/石洵瑶 6、8、−9、7 袁媛/徐奕
○劉ウェイ珊 −4、5、9、−9、6 楊屹韻
○石洵瑶 7、8、5 徐奕

〈女子二団 3−1 女子九団〉
○顧玉ティン/陳幸同 8、6、9 郭雨涵/王暁トン
 孫銘陽 10、−11、−13、−8 クァイ曼○
○陳幸同 5、7、3 王暁トン
○顧玉ティン 9、−5、9、−9、9 クァイ曼

●準々決勝
〈女子一団 3−0 女子四団〉

○陳夢/王曼昱 9、−7、11、8 陳可/張瑞
○孫穎莎 9、6、−6、2 何卓佳
○陳夢 6、10、6 陳可

〈女子三団 3−0 女子五団〉
○銭天一/王芸迪 9、−9、8、−5、11 李佳イ/胡麗梅
 劉斐 7、−7、−4、9、−13 劉㬢○
○王芸迪 4、8、9 胡麗梅
○銭天一 6、8、8 劉㬢

〈女子七団 3−2 女子六団〉
 張薔/武楊 10、−6、−2、−1 木子/楊惠菁○
○范思チィ 11、7、−10、−9、9 車暁㬢
 武楊 −12、−9、−8 楊惠菁○
○范思チィ 9、−5、−6、4、10 木子
○張薔 11、−6、10、11 車暁㬢

〈女子二団 3−1 女子八団〉
○顧玉ティン/陳幸同 6、3、3 馮亜蘭/石洵瑶
 孫銘陽 −14、9、−5、−10 劉ウェイ珊○
○陳幸同 10、6、−4、5 石洵瑶
○孫銘陽 7、9、4 馮亜蘭

●準決勝
〈女子一団 3−0 女子三団〉

○陳夢/王曼昱 −7、5、4、9 王芸迪/銭天一
○孫穎莎 6、3、4 劉斐
○陳夢 5、7、7 銭天一

〈女子二団 3−0 女子七団〉
○陳幸同/顧玉ティン 6、7、5 徐奕/張薔
○孫銘陽 9、−10、−9、6、10 范思チィ
○陳幸同 5、5、2 張薔

●3位決定戦
〈女子三団 3−0 女子七団〉

○王芸迪/銭天一 7、6、4 范思チィ/張薔
○劉斐 5、5、7 徐奕
○王芸迪 6、−5、9、7 范思チィ

●決勝
〈女子一団 3−0 女子二団〉

○陳夢/王曼昱 9、7、4 顧玉ティン/陳幸同
○孫穎莎 −11、4、9、9 孫銘陽
○王曼昱 7、5、9 陳幸同

※写真提供:『ピンパン世界』
  • 孫穎莎、一団のエースとして役割を果たした

  • 「チームがひとつにまとまった」と陳夢。メンバー3人、自撮りでこの笑顔

  • 仮想・石川佳純/平野美宇である女子二団の顧玉ティン(左)/陳幸同。決勝は0−3で敗れる

  • 女子2団のベンチには07年世界2位の郭炎が入った

  • 陳夢(左)/王曼昱は3戦3勝で女子団体を戦い終えた

 8月20日、中国卓球協会は11〜14歳の男女選手で構成された「国家卓球青少年トレーニングチーム(集訓隊)」と、7〜10歳の男女選手で構成された「国家卓球少年トレーニングチーム」を2020年末に発足させることを発表した。この14歳以下の選手による中国ナショナルチームは、男子16名・女子16名、合計32名の選手によって構成され、毎年2回、夏休みと冬休みに集合訓練を実施。選手たちの参加費や必要な器材の経費などは中国卓球協会が負担する。

 それぞれのトレーニングチームの選手選考については、まず9月から中国全土で、省・自治区・直轄市の卓球協会の主催で一次選考会を実施。さらに中国卓球協会の主催で二次選考会が行われ、それぞれのチームの選手を決定する。ちなみに「ペンホルダー」「カット」「粒高攻守」などの「特殊打法」の選手枠もあり、これらのスタイルの選手が選考会を通過しなかった場合、最大2名までチームに加えることができる。プレースタイルの多様性を確保するのが狙いだ。
 14歳以下の年代の国家チームについては、これまでも中国卓球協会の劉国梁会長が結成の重要性について繰り返し述べてきた。昨年12月の中国卓球協会の統括会議では、次のように語っている。
 
 「青少年の選手育成という点については、日本は常に優れた仕事をしており、中国もさらに強化を進める必要がある。青少年と少年のトレーニングチームを作ることで、彼らの学業を妨げない範囲内で集合訓練を行い、子どもたちには国家チームとしての栄誉を感じてもらい、より積極的にこのスポーツに取り組んでもらいたい」(劉国梁会長)。

 U12(12歳以下)のホープスナショナルチームに加え、U7(7歳以下)選手の育成事業にも着手している日本。劉国梁会長は早期の選手強化については、一貫して日本を評価しており、昨年8月には日本卓球協会と協力して中日ジュニア卓球チャレンジ大会を実施。大会は7〜8歳・9〜10歳・11〜12歳の3つのカテゴリーで行われ、将来的には世界規模でのU12大会の開催を視野に入れている。

 これから選手選考が行われる、14歳以下のふたつのナショナルチーム。実際には年2回の集合訓練が強化の決め手になるとは言い難く、強化の中心となるのはあくまでも体育学校や卓球学校など、それぞれの母体での練習。子どもたちの卓球へのモチベーションを高めるための、シンボル的な存在だろう。
 それでも、他国の優れた点に学び、積極的に取り入れる姿勢を示した中国。15年ジャパンオープンで来日した際、インタビューで劉国梁会長(当時:国家チーム総監督)が語った自らの指導哲学を思い出す。「満足しないこと、常に挑戦すること、そして新しいものを求めていくこと」。最強軍団は、まだまだその歩みを止めようとはしない。
  • 中国卓球界の知恵袋、現状に満足することを知らない劉国梁会長

  • オープンな国家チームの結成は、子どもたちの意欲を高めるか(写真はイメージです)

 8月16日から男女団体戦がスタートした、東京五輪・卓球競技と同じ種目・日程で行われる『備戦東京』エキシビションマッチ。昨日18日に男子団体は準々決勝、女子団体は準決勝第1戦まで終了した。団体戦の試合方式は4シングルス1ダブルスで、東京五輪の試合方式と同じ「1番ダブルス」で行われる。
 試合結果については終了後に詳報をお伝えするとして、男女団体の登録メンバーを先に紹介しよう。男子は男子一団から十六団まで、国家1軍・2軍チーム、すでに国家チームを引退したベテランを総動員。主力選手の欠場が相次いだ女子は、女子一団から十四団までの構成となった。登録メンバーは下記のとおり。

〈男子団体・登録メンバー〉
一団:馬龍・許シン・樊振東
二団:林高遠・梁靖崑・王楚欽
三団:閻安・周啓豪・劉丁碩
四団:周雨・趙子豪・馬特(※徐晨皓は欠場)
五団:方博・于子洋・薛飛
六団:周愷・孫聞・張煜東
七団:鄭培峰・向鵬・徐海東
八団:任浩・趙釗彦・徐瑛彬
九団:曹巍・于何一・賽林威
十団:劉夜泊・全開源・梁国棟
十一団:厳昇・楊碩・袁励岑
十二団:曹彦涛・牛冠凱・高陽
十三団:梁儼苧・謝聡凡・宋卓恒
十四団:林詩棟・陳垣宇・曽ベイ勲・胡東申
十五団:陶育暢・孫佳逸・熊夢陽
十六団:張超・侯英超・崔慶磊

〈女子団体・登録メンバー〉
一団:陳夢・孫穎莎・王曼昱
二団:陳幸同・顧玉ティン・孫銘陽
三団:劉斐・王芸迪・銭天一
四団:張瑞・何卓佳・陳可
五団:李佳イ・劉㬢・胡麗梅
六団:車暁㬢・楊惠菁・木子
七団:范思チィ・武楊・張薔
八団:馮亜蘭・劉ウェイ珊・石洵瑶
九団:クァイ曼・王暁トン・郭雨涵
十団:陳イ・斉菲・臧小桐
十一団:李雅可・張繽月・呉洋晨
十二団:黄頴チィ・冷雨桐・李雨チィ
十三団:袁媛・楊屹韻・徐奕
十四団:穆静毓・孫芸禎・王添芸
 
 男女とも二団から八団くらいまでは、主要なライバル国を想定した仮想チームなので、誰がどの外国選手の役をやっているのか、想像してみると面白い。たとえば男子の二団は水谷隼(林高遠)・張本智和(梁靖崑)・丹羽孝希(王楚欽)の「仮想・日本チーム」であり、陳建安(林高遠)・荘智淵(梁靖崑)・林昀儒(王楚欽)の「仮想・チャイニーズタイペイチーム」でもある。ちなみにダブルスは林高遠と梁靖崑の左右ペアで組んでいる。
 
 閻安・周啓豪・劉丁碩という右シェークドライブ3人の「三団」は、李尚洙・鄭栄植・張禹珍と右シェークドライブが揃う韓国を想定したチームか。中国男子の秦志戬監督は、同じく右シェーク3人の「六団」についても「競技レベルや戦術・技術面においても、非常に韓国チームによく似ている」とコメント。仮想・韓国がいわゆる「六軍」とは、中国恐るべしだ。

 「四団」はシングルスで負傷した徐晨皓が欠場したが、左右のシェークドライブにペンドライブ、カットという多彩なスタイルの構成。バックハンドが強い徐晨皓は普段から仮想・ヨーロッパ選手になることが多く、徐晨皓がオフチャロフかフランチスカ、左シェークドライブの周雨がボル、右ペンドライブの趙子豪がチウ・ダン、右シェークカットの馬特がフィルス、という仮想ドイツチームなのか。黄鎮廷と同じ右ペンドライブ型の薛飛がいる五団は香港のようでもあり、左シェークドライブ2人(任浩・趙釗彦)に右シェークドライブ型の徐瑛彬がいる八団はポルトガルのようでもあり……。

 一方、女子は二団が明確に日本を想定している。陳幸同(平野美宇)・顧玉ティン(石川佳純)・孫銘陽(伊藤美誠)という顔ぶれだ。陳幸同と顧玉ティンは以前から平野・石川という両選手の「模倣対手(コピー選手)」だったが、以前は張瑞や木子が務めていた「伊藤美誠役」は、最近では孫銘陽が専門だ。続く三団と四団については、中国女子の李隼監督が「三団は韓国、四団は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を想定している」とコメント。三団は徐孝元(劉斐)・梁夏銀 or 申裕斌(王芸迪)・田志希(銭天一)という想定で、右シェークバック表の張瑞と何卓佳がいる四団は、異質型の多い北朝鮮を想定したメンバーだ。

 ワールドツアーなどの国際大会では、基本的に次に対戦する選手と同じプレースタイルの選手に練習相手を頼む。同じチームにいればその選手に頼むし、違う国の選手に頼むことも少なくない。しかし、これだけの規模で、ライバルチームを想定した仮想チームが並ぶ『備戦東京』は、団体戦も個人戦も常に「ワンチーム」で戦う中国ならでは。もちろん二団以下の選手たちも、自ら進んで他国の選手の役などやりたくはないだろう。それでも、次回以降の五輪代表の座に少しでも近づこうと、全力で一団の選手たちにぶつかっていくのだ。
  • 左腕のライバル選手が多い中、左腕の王楚欽が果たす役割は大きい(写真提供:『ピンパン世界』)

 来年の東京五輪・卓球競技と全く同じ種目・タイムテーブルで行われる、『備戦東京』エキシビションマッチ。女子シングルスは故障を抱えた丁寧・劉詩ウェンと、体調不良の朱雨玲が欠場し、大きな波乱のないままラウンドが進む中、決勝で孫穎莎と王曼昱が激突。1ゲーム目に孫穎莎が1−6、4−8、8−10のビハインドから逆転すると、王曼昱も後のないゲームカウント0−3から2ゲームを返し、6ゲーム目には8−10から孫穎莎のマッチポイントを4回も跳ね返す。最終ゲームも中盤まで一進一退だったが、最後に抜け出した孫穎莎が混合ダブルスとの2冠を達成した。

 孫穎莎と王曼昱。宿命のライバル同士による女子シングルス決勝は、「全弾撃ち尽くす」と形容したくなる、目を疑うほどの打撃戦。中国に行くのが困難な状況とはいえ、この試合を映像でしか見られないのが残念だ。男子シングルス決勝の梁靖崑対王楚欽戦は、激しい打撃戦の中にも梁靖崑の戦術のうまさが光っていたが、女子シングルス決勝はまさにノーガードの打ち合い。互いにチキータと長いツッツキから、両ハンドの剛球を打ちまくった。2017年の世界ジュニア選手権決勝で、やはり孫穎莎と王曼昱によるジュニアレベルを超越したラリー戦に息を呑んだが、今回の両選手のプレーはその数段上を行く。

 この女子シングルス決勝では、プレーする孫穎莎以上にベンチから声を出していた、孫穎莎の担当コーチ・黄海城もちょっとした話題になった。黄海城コーチはもともと広東省チームの選手で、国家チームでプレーした経験はない。広東省女子チームの監督時代に指導した劉詩ウェンの国家2軍チーム入りとともに、国家チームの指導陣に加わった。もともと担当していた陳夢に加え、孫穎莎の担当コーチだった張琴が昨年国家チームを離れたことで、現在は陳夢と孫穎莎という中国女子のキープレーヤーふたりを担当している。一方、王曼昱のベンチに入ったのは、男子チームのコーチ時代に張継科を担当していた肖戦だ。

 ちなみに今回の『備戦東京』は、集合訓練でのエキシビションマッチとして開催されており、集合訓練前に母体の省チームに戻った選手たちは、新型コロナウイルス対策のためにホテルで1週間の隔離期間を置いてから合流している。これは取材するメディアも同じで、取材するためには1週間の隔離期間が必要だという。数少ない取材者のひとりで、大会の写真を送ってくれる雑誌『ピンパン世界』の辺玉翔カメラマン曰く、「こういう状況だからしかたないけど、さすがに取材するメディアはほとんどいない」とのこと。一方、試合の模様はCCTV(中国中央電視台)の公式サイトで配信されており、中国国内ではリアルタイムで視聴することができる。図らずも、エキシビションマッチの新しいスタイルとなった。

●女子シングルス・予選グループ(順位のみ/1位の選手は決勝トーナメント進出)
A:1.李雅可 2.楊惠菁 3.徐奕
B:1.王添芸 2.陳イ 3.李雨チィ
C:1.斉菲 2.王暁トン 3.穆静毓
D:1.石洵瑶 2.臧小桐 3.呉洋晨
E:1.孫芸禎 2.陳可 3.クァイ曼
F:1.黄頴チィ 2.楊屹韻 3.冷雨桐
G:1.郭雨涵 2.袁媛 3.張繽月
●予選第2ステージ(グループ2位の選手によるトーナメント)
王暁トン 4−3 楊屹韻  陳イ 4−0 張繽月
楊惠菁 4−1 臧小桐   陳可 4−0 袁媛
※王暁トン、陳イ、楊惠菁、陳可は決勝トーナメント進出

●女子シングルス・決勝トーナメント1回戦
陳夢 −10、7、−8、5、5、8 李雅可
斉菲 −9、14、−7、10、−11、9、10 李佳イ
范思チィ 11、12、7、7 木子
銭天一 −8、10、9、−8、12、8 陳可
顧玉ティン 10、5、4、−4、−8、8 王添芸
劉ウェイ珊 8、5、8、6 黄頴チィ
王曼昱 8、7、11、5 劉㬢
孫銘陽 9、−7、4、9、10 車暁㬢
石洵瑶 −6、10、9、5、4 馮亜蘭
王芸迪 −7、5、4、−11、7、4 胡麗梅
陳幸同 −9、3、7、10、9 孫芸禎
張瑞 8、−7、9、−6、6、8 楊惠菁
何卓佳 3、11、2、8 郭雨涵
劉斐 6、9、5、−12、−10、−9、9 王暁トン
孫穎莎 8、8、4、9 武楊
陳イ −10、8、9、10、−11、−7、8 張薔

●2回戦
陳夢 −7、−7、5、8、5、8 范思チィ
銭天一 5、7、−8、6、6 斉菲
王曼昱 6、−9、8、10、7 孫銘陽
顧玉ティン 8、−13、7、8、5 劉ウェイ珊
王芸迪 4、11、11、5 石洵瑶 
陳幸同 3、11、7、11 張瑞
孫穎莎 9、−12、7、5、8 陳イ
劉斐 −6、−6、7、6、−3、8、9 何卓佳

●準々決勝
陳夢 3、5、5、7 銭天一 
王曼昱 3、2、8、−9、−8、8 顧玉ティン
王芸迪 −8、8、7、−9、7、10 陳幸同
孫穎莎 7、7、6、2 劉斐
●準決勝
王曼昱 7、−11、8、−8、8、6 陳夢
孫穎莎 9、9、7、−4、7 王芸迪
●3位決定戦 王芸迪 −11、7、−1、12、−7、6、9 陳夢
●決勝 孫穎莎 10、9、12、−6、−8、−13、6 王曼昱

※写真提供:『ピンパン世界』
  • 女子単決勝、0−3から追いつかれながらも最後まで打ち切った孫穎莎

  • 小柄ながら、すさまじいフォアのパワードライブを連発

  • 孫穎莎と王曼昱(手前)、これからも数多くの名勝負を繰り広げるだろう

 海南省陵水で行われている、来年の東京五輪・卓球競技と全く同じ種目・タイムテーブルで行われる『備戦東京』エキシビションマッチ。8月14日に男子シングルス決勝が行われ、梁靖崑が王楚欽との接戦を4−2で制して頂点に立った(記録はページの一番下に掲載)。
 
 男子シングルス決勝トーナメントに出場したのは32名。東京五輪・卓球競技の男子シングルスに出場できるのは64名で、実際の人数の半分しかいないが、シード獲得が確実な中国選手は、五輪本番でも3回戦からの出場。3回戦を戦う人数は32名なので、このエキシビションマッチも32名の出場で問題ない。国家1軍チームの選手に予選グループを勝ち上がった11名を加え、さらに国家チームを引退した崔慶磊・張超・侯英超といったベテラン勢も招集。崔慶磊は31歳、張超は35歳、侯英超はなんと40歳だ。

 このベテラン勢の招集が、予想外の波乱を起こす。北京チームの先輩でもあるカットの侯英超戦を前に、「しっかり準備をしようと思った」という第2シードの馬龍が、試合前のウォーミングアップ中に首を傷めてまさかの棄権。樊振東・許シンとチームを組む男子団体でコートに復帰した馬龍だが、さすがに寄る年波を感じずにはいられない。

 さらに準々決勝では、優勝候補の許シンがダークホース・徐晨皓にストレートで敗れる波乱。徐晨皓といえば、塩野真人のカットをまったく打てずに敗れ去った2013年ジャパンオープン決勝をご記憶の方もいるかもしれない。体つきはやや鈍重、バックは強いがフォアで下回転ボールを打たされると苦しくなる徐晨皓は、レシーブ+3球目を得意のバックハンドでカバーし、上回転のラリーに持ち込んでから両ハンドを強振した。徹底して長所を生かす戦術を見せた徐晨皓だが、準決勝はストレートで敗れ、3位決定戦は首と肩の痛みを訴えて棄権。ハイレベルな同士討ちの7ゲームスマッチは、相当な身体的負担を強いるのだろう。

 優勝した梁靖崑は、昨年の世界選手権個人戦で勝利した樊振東に、準決勝で再び勝利。王楚欽との決勝は「肉を切らせて骨を断つ」強烈な打撃戦となったが、相手に打たせて狙う「後の先」の戦術に一日の長を見せた梁靖崑が勝利を収めた。五輪の代表争いが混沌とする女子に対し、男子は馬龍・樊振東・許シンというトップ3に割って入るのは難しい状況だが、Pカード(負傷時の代替出場選手)に選ばれるのは恐らく梁靖崑ではないか。

●男子シングルス・予選グループ(順位のみ/1位の選手は決勝トーナメント進出)
A:1.薛飛 2.牛冠凱 3.楊碩 4.于何一
B:1.梁儼苧 2.馬特 3.劉夜泊
C:1.全開源 2.劉丁碩 3.高楊 4.謝聡凡
D:1.周愷 2.曹巍 3.宋卓衡 4.熊夢陽
E:1.趙釗彦 2.孫佳逸 3.厳昇 4.陶育暢
F:1.張煜東 2.胡東申 3.曹彦涛
G:1.袁励岑 2.陳垣宇 3.林詩棟 4.曽ベイ勲
H:1.賽林威 2.任浩 3.梁国棟
●予選第2ステージ・準々決勝(グループ2位の選手のトーナメント)
任浩 4−1 馬特    牛冠凱 4−0 孫佳逸
劉丁碩 4−0 陳垣宇  曹巍 4−0 胡東申
●準決勝 
牛冠凱 9、5、−13、5、6 任浩
劉丁碩 9、6、9、5 曹巍
●3位決定戦 任浩 −10、7、5、8、8 曹巍
※牛冠凱、劉丁碩、任浩は決勝トーナメント進出

●男子シングルス・決勝トーナメント1回戦
樊振東 3、6、10、4 張超
梁靖昆 −4、6、−8、5、5、8 薛飛
于子洋 −10、7、8、9、−6、9 方博
周雨 8、7、9、−8、10 徐瑛彬
孫聞 7、14、−8、−7、0、7 梁儼苧
趙子豪 6、8、8、9 趙釗彦
林高遠 6、7、10、8 牛冠凱
徐海東 8、−8、10、9、−5、7 崔慶磊
閻安 9、−5、9、−10、8、7 任浩
王楚欽 2、−7、4、6、8 張煜東
鄭培峰 6、9、10、−10、−7、−5、7 劉丁碩
徐晨皓 7、−7、8、7、−9、11 袁励岑
周啓豪 −7、8、5、−4、−9、7、13 賽林威
許シン 6、9、8、−6、−8、8 周愷
全開源 8、3、6、11 向鵬
侯英超 キケン 馬龍

●2回戦
樊振東 7、−7、−8、6、4、8 周雨
于子洋 5、4、9、−8、7 趙子豪
梁靖崑 7、3、6、8 孫聞
林高遠 −9、12、−9、6、5、5 徐海東
王楚欽 −6、7、8、−7、2、9 鄭培峰
徐晨皓 −8、7、−6、9、7、5 周啓豪
許シン −7、9、2、5、4 全開源
閻安 −8、9、−5、8、8、−5、11 侯英超

●準々決勝
梁靖崑 −5、8、5、−4、5、9 林高遠
樊振東 6、−8、8、6、1、2 于子洋
王楚欽 4、6、7、2 閻安
徐晨皓 4、8、8、7 許シン
●準決勝
梁靖崑 10、5、10、−5、−7、7 樊振東
王楚欽 9、8、7、5 徐晨皓
●3位決定戦 樊振東 キケン 徐晨皓
●決勝 梁靖崑 −9、10、8、6、−7、10 王楚欽

※写真提供:ピンパン世界
  • プレーに緻密さが加わった梁靖崑、林高遠・樊振東・王楚欽を連破

  • ハイレベルな打撃戦となった男子シングルス決勝

  • 20歳の若武者・王楚欽は準優勝

  • 長所を生かすプレーで波乱を起こした徐晨皓

  • 許シンはベスト8。残る男子団体で2冠を狙う

 8月8日から中国・海南省陵水では、延期になった東京オリンピック・卓球競技と全く同じ開催種目・日程で行われる『備戦東京(ベイジャントンジン)・2020中国卓球チーム・オリンピックエキシビションマッチ』がスタートしている。お伝えするのが遅くなってしまいましたが、8月10日には16ペアが出場した混合ダブルスが決勝まで行われ、最初の金メダルペアが誕生した。

 すでに男女シングルスなどもスタートしているが、まず混合ダブルスの結果からお伝えしましょう。東京五輪出場がほぼ確実視されていた馬龍・許シン・樊振東をはじめ、主力選手が勢揃いした男子に対し、女子は丁寧と劉詩ウェンが故障の影響で欠場、朱雨玲も開幕直前に体調不良によって欠場が発表された。そのため、混合ダブルスの世界チャンピオンペア、許シン/劉詩ウェンは出場できず、許シンのパートナーに選ばれたのは孫穎莎。劉詩ウェンは6月に右ひじの手術を受け、リハビリは順調と伝えられていたが、まだ万全とは言えないようだ。混合ダブルス1回戦から決勝までの結果は下記のとおり。

●混合ダブルス1回戦
樊振東/陳夢 6、−11、7、8、7 曹巍/張瑞
梁靖崑/顧玉ティン −10、7、6、3、−12、8 張煜東/李佳イ
徐晨皓/王芸迪 6、−8、4、−8、12、10 方博/張薔
王楚欽/王曼昱 8、−6、7、10、6 于子洋/木子
許シン/孫穎莎 7、7、−6、6、3 周雨/馮亜蘭
林高遠/孫銘陽 5、1、−8、−11、−9、4、9 劉丁碩/銭天一
薛飛/劉煒珊 −10、−7、4、12、4、7 侯英超/劉斐
周啓豪/陳可 −8、6、7、12、7 趙子豪/陳幸同

●準々決勝
樊振東/陳夢 6、−11、8、4、−7、7 梁靖崑/顧玉ティン
王楚欽/王曼昱 −9、8、8、−4、−1、9、6 徐晨皓/王芸迪
林高遠/孫銘陽 5、−8、−7、8、4、11 周啓豪/陳可
許シン/孫穎莎 −9、5、8、−7、−4、4、4 薛飛/劉煒珊

●準決勝
王楚欽/王曼昱 4、−7、−9、8、8、8 樊振東/陳夢
許シン/孫穎莎 10、−7、6、9、−12、−13、6 林高遠/孫銘陽

●銅メダル決定戦
林高遠/孫銘陽 −4、−2、7、1、13、9 樊振東/陳夢
●決勝
許シン/孫穎莎 −9、6、−8、8、10、9 王楚欽/王曼昱

 優勝したのは許シン/孫穎莎。ほぼ11歳の年の差があるふたりが、苦戦の連続を見事に乗り切った。許シンは「決勝では互いにミスも出たけれど、ぼくと孫穎莎のほうがコミュニケーションを取り、互いに励まし合う場面が多かった。コンビネーションという点でぼくらのほうがより優れていた」とコメントし、ペアリングの良さを認めている。劉詩ウェンに比べると孫穎莎はプレー領域がやや中陣寄りで、ラリーが続きやすいが、男子選手のプレーへの対応力という点では劉詩ウェンを上回るか。

 ちなみに出場した16ペアは、中国代表として東京オリンピックに出場する可能性がある許シン/孫穎莎、樊振東/陳夢を除くと、ほぼすべてのペアが海外の強豪ペアを想定している。公表されていないが、下記のような想定になるだろう。

●右シェーク男子×左シェーク女子(仮想:李尚洙/田志希、フランチスカ/ゾルヤ)
梁靖崑/顧玉ティン、劉丁碩/銭天一、周啓豪/陳可
●左シェーク男子×右シェーク異質女子(仮想:水谷隼/伊藤美誠)
林高遠/孫銘陽、于子洋/木子、曹巍/張瑞
●左シェーク男子×右シェーク女子(仮想:林昀儒/鄭怡静)
王楚欽/王曼昱、周雨/馮亜蘭
●右ペン男子×右シェーク女子(仮想:黄鎮廷/杜凱琹)
趙子豪/陳幸同、薛飛/劉煒珊

 李尚洙/田志希を想定したペアには、李尚洙のような強打者タイプの梁靖崑や劉丁碩、周啓豪を組み合わせ、仮想:水谷隼はテクニックがあって中陣でもプレーできる林高遠や于子洋。なかなかよく考えられている。そして日本ペアを想定した林高遠/孫銘陽が、3位決定戦で樊振東/陳夢を破って銅メダルと、本家に違わぬ実力を見せた。男女シングルス・団体の結果も、引き続きお伝えします。
(写真提供:『ピンパン世界』)
  • 許シンがいればどのペアでも勝てる? 許シン/孫穎莎が優勝

  • 11歳の歳の差ペアを、許シンがリードした

  • 王楚欽/王曼昱は樊振東/陳夢を下して準優勝

  • 「仮想・水谷/伊藤」の林高遠/孫銘陽は大健闘の3位

  • 大型選手の孫銘陽だが、ずっと見ていると美誠ちゃんに……見えてくる?