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中国リポート

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 いよいよ残るはスウェーデンオープンのみとなったITTFプロツアー・欧州5連戦で、久々に大暴れしている選手がいる。スペインの老雄・何志文(ハ・ジウェン)だ。
 どこからどうみても、世界トップクラスのアスリートには見えない(失礼)この何志文。しかし、オーストリアオープンで張ユク(中国香港)、シュテガー(ドイツ)を下して準優勝、そしてドイツオープンではなんと柳承敏(韓国)を破ってベスト8進出。これで世界ランキングも20位以内に入ってくる可能性がある。北京五輪への自動出場枠の獲得も、ほぼ確実な状況だ。

 1962年5月31日、浙江省生まれの何志文は現在45歳。先日現役を引退した偉関晴光選手と同い年だ。中国国家チーム時代に85・87年と世界選手権に2度出場し、85年イエテボリ大会でシングルスベスト16、ダブルス3位に入っている。同時期に江加良、陳龍燦という強豪がいたため、どちらかというとダブルス要員の選手だった。
 95年にスペインに移住し、97年マンチェスター大会で10年ぶりに世界選手権出場。いきなり自己新記録のベスト8入りを果たして世界を驚かせた。以来10年間、07年のザグレブ大会までスペイン代表として世界選手権に出場し続けている。

 何志文の戦型は左ペンホルダー表ソフト前陣攻守型。独特の大きく曲がるミッドトスサービスと、右利きのフォアへ逃げるサイドスピンショート、ストレートへのプッシュで相手を振り回す。たたみかけるフォアスマッシュも打ちはじめたら止まらない。世界のトップ選手であっても、調子の上がらない早いラウンドでは絶対に当たりたくない選手だ。03年パリ大会では3回戦でクレアンガ(ギリシャ)がさんざん苦しめられたし、05年上海大会では前回チャンピオンのシュラガー(オーストリア)が完敗を喫している。

 2人の娘の父親でもある何志文、家族で服飾店を営みながらスペインリーグのカジャ-グラナダでプレーし、練習は1日たったの1時間。スピードグルーも一切使わず、フォア面の表ソフトラバーは1カ月に1回しか変えないという。
 「何志文、まだ現役でやるのかい?」と聞かれると、彼はいつもこう答える。「引退? まだまだ勝てるのに、どうして引退しなきゃならないんだ?」。果たして何歳まで続けるのか。

Photo上:85年イエテボリ大会での何志文
Photo下:07年フォルクスワーゲンオープン荻村杯での何志文。前掛けをして近所の八百屋にいたら気づかないかもしれない