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中国リポート

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 12月18~19日まで、北京ではプロツアーファイナルに続くオリンピックのテストイベントとして、「グッドラック北京国際卓球大会(団体戦)」が北京大学体育館で行われる。その他にも、今年から来年にかけて、北京では42のオリンピック種目で、「グッドラック北京国際」が行われる予定だ。

 11月17日、その大会の一環として、「グッドラック北京国際ボクシング大会」が開幕した。会場は北京工人体育館。1961年の第26回世界卓球選手権北京大会のために建設された、中国卓球の聖地とも言える場所だ。男子団体決勝で、徐寅生(現:中国卓球協会会長)が星野展弥のロビングを12本のスマッシュで打ち抜いた「十二大板」など、多くの伝説が生まれた。もう築46年になるが、昨年5月からの改修工事で、すっかり綺麗に生まれ変わった。

 巨大な円柱状の構造になっているこの工人体育館。すり鉢状の観客席は、東京の代々木第二体育館によく似ている。座席数は固定席12,000、臨時席1,000で計13,000席。61年の北京大会の時は15,000人を収容したと伝えられている。座席部分の下には卓球場やバドミントンのコートなどがある。
 建設当時、中国は「大躍進運動」と呼ばれる生産促進運動の失敗によって、中国全土が大飢饉に見舞われていた。そのような厳しい状況の中、国力を結集して築かれた工人体育館は、さながら舞い降りた巨大なUFO。今でも60年代を代表する建築のひとつに数えられている。現在では、周辺の三里屯には洒落たカフェバーが立ち並び、ワルドナーが3年前に開店したカフェバー「W.維京鋭利店」もすぐ近くにある。

 北京オリンピックでは工人体育館で8月9~24日まで、大会期間を通してボクシングの試合が行われる。「卓球の聖地」から「ボクシングの神殿」へ。46年の時を経て、工人体育館は再び熱狂的な歓声に包まれようとしている。

 Photo:61年当時の工人体育館。前に立つとその大きさに圧倒される。筆者はこの工人体育館を訪れた時、「とりあえず一周してみよう」と周りをランニングして警備員に怒られたことがあります…