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中国リポート

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 全身をフルに使ったフォアドライブを武器に、99年ITTFプロツアー・グランドファイナル優勝などの成績を収めた劉国正。01年世界選手権・韓国戦ラストの大逆転勝利で、「民族の英雄」と称賛された彼は、今回の集合訓練から「コーチ実習生」としてチームに帯同している。

 劉国正は05年12月に練習中に右ひざ(膝蓋骨)を骨折。一度目の手術が失敗に終わったこともあり、ブランクは1年半にも及んだ。昨年6月の超級リーグ開幕戦で久々にファンの前に姿を見せたが、右ひざの状態も完治には至らず、超級リーグでの出場機会は少なかった。国家チーム内でも若手が台頭しつつあるため、昨年の全中国選手権を最後に引退を決意したようだ。

 北京五輪の後に行われる国家チームのコーチ選考会で選出されれば、正式に国家チームのコーチに任命される劉国正。今回の集合訓練では、男子チームの呉敬平コーチの補佐として、馬琳と王皓の指導に当たっている。馬琳とは同じ仙頭市卓球学校の出身で、国家チームにも同時に選出されたチームメイトだが、国家チーム内の新旧交代は容赦なく繰り返されていく。

 昨年の全中国選手権を最後に引退した孔令輝に続き、今年も中国男子チームの屋台骨を支えたひとりの名選手がユニフォームを脱ぐ。世界選手権・オリンピックではついに個人戦のタイトルを獲得できなかった。精神力の強さは誰もが認めるところだが、身体への負担の大きいプレースタイルで、万全の状態でプレーできる大会は少なかった。
 プレーヤーとして最後の光芒を放ったのは、05年世界選手権上海大会・シングルス4回戦でボル(ドイツ)を大逆転で破った試合か。丸っこい体つきとなんとも愛嬌のあるルックス、ゴムまりのようにコートを駆け回り、豪快なフォアドライブと渾身のガッツポーズ。記録よりも記憶に残る典型のようなこの選手は、そのチームスピリッツを若手選手に注入するべく、コーチとしての道を歩みはじめている。

Photo上:上海大会でボルを破り、観衆の大歓声を浴びる劉国正
Photo下:05年10月の全中国運動会での劉国正。右ひざの大ケガに見舞われたのはこの2カ月後だった