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中国リポート

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 昨日24日に開幕した世界卓球選手権団体戦・広州大会。ディフェンディングチャンピオンの中国は、男女チームとも1ゲームも落とさず、オールストレートの3-0で勝利を決めた。
 男子の初戦の相手は2001年大阪大会の決勝で対戦したベルギーだったが、セイブ兄弟にブラタノフといまだに世代交替が進まないベルギーは、もはや中国の相手ではなかった。一方の女子も、カット主体のロシアを一蹴。こんな見出しを付けた新聞社がある。「不血刃軽取俄羅斯」。ロシア(俄羅斯)を相手に刃を振るうこともなく勝利したということだが、完勝劇のニュアンスが良く伝わってくる。

 昨日2月24日、試合の開幕の他に、もうひとつ大きなニュースがあった。中国卓球チームのウェアのオフィシャルサプライヤーである李寧有限公司が、アメリカ卓球チームとも向こう5年間、オフィシャルサプライヤー契約を結ぶと発表。アメリカ卓球チームは、すでに女子チームの高軍と王晨が北京五輪への自動出場枠を獲得しているが、元中国代表の両名が李寧のウェアに袖を通しても違和感はあるまい。
 記者会見の席では、さらに李寧有限公司が中心となって「中国・アメリカ卓球交流基金」を設立することが発表された。これは中国・アメリカ両卓球協会が共同で選手育成を図るもので、その計画の第一歩として、今年の夏期休暇からアメリカ卓球協会が選抜した12~16歳のジュニア選手20名が、中国のジュニア選手とともに3週間程度のトレーニングキャンプを実施する。

 会場には、李寧有限公司の李寧会長、アメリカ卓球協会CEOのマイケル・カバナー氏らと共に、1971年のピンポン外交の主役となったティム・ボーガン氏や李富栄氏も姿を見せた。ボーガン氏は71年世界選手権名古屋大会で、アメリカ卓球チーム男子のキャプテンを務めた人物だ。中国チームのバスに間違えて乗り込むという運命的なミスを犯したグレン・コーワンは、2004年に53歳の若さで亡くなっている。

 世界選手権の開幕に合わせ、ピンポン外交の再来を図ったとも言える李寧とアメリカ卓球チームとの契約。昨年3月にも、ピンポン外交35周年を記念するアメリカ卓球協会の訪問団が北京を訪れていた。北京五輪を間近に控えた中国、「ピンポン外交」という不滅のカードが、これからもしばしば切られることになりそうだ。

Photo:07年世界ザグレブ大会ベスト8の王晨