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中国リポート

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 中国の卓球総合サイト「全Pingpang(alltt.com)」の投稿掲示板で、世界選手権広州大会の終了後、面白い論争が持ち上がっている。事の発端は最初に書き込んだ投稿者の、甚だ私的な意見によるものなのだが…。その論争の渦中にいる人物は、男子世界ランキング1位の王皓だ。

 これまでは「鉤子発球」と呼ばれる、手首を内側に折り曲げて出す変化の激しいフォアサービスが武器だった王皓。しかし、テレビでそのプレーを観ていた人はお気づきかもしれないが、今大会で王皓は新しいフォアサービスを試していた。
 男子決勝の李廷佑戦で、王皓が何気なく出したそのサービスのフォームをひと目見た筆者は息を呑んだ。「り、劉国梁がいる」。劉国梁監督はベンチにどっかり座っているから本人ではないし、健康そのものだから亡霊でもないのだが、そのサービスフォームはとにかく劉国梁と瓜ふたつなのだ。
 これは伝統的に中国のペン速攻選手に多いサービスのフォームで、通常フォアサービスは左足を踏み込みながらサービスを出す選手が多いのだが、この劉国梁スタイルのサービスはまず右足を高く上げながら右肩を引き、そのまま体を回しながら、右足を踏み込んでインパクトする。

 この王皓の劉国梁式サービスに対し、「全Pingpang」の掲示板で「王皓、あんな劉国梁がやるような気持ち悪いサービスは出さないでくれ」と書き込んだ投稿者がいたことから論争が始まった。論争といっても、99%は書き込みの主に否定的な意見。「完全に偏見だ」「効果が重要、見た目は重要じゃない」「劉国梁はあのサービスでシェークをなぎ倒したんだ」等々…。最も傑作なのは「見た目が大事ならフィギアスケートでも見に行け!」。

 劉国梁監督直伝の、王皓のニューサービス。確かにちょっと格好悪い気はするのだが、中国の卓球ファンはひとまず王皓の試行錯誤にエールを送っているようだ。

Photo上:劉国梁先生の往年のフォアサービス
Photo中:王皓クンのフォアサービス。先生と比べるとやはりぎこちない。ちょっと世界ランキング1位には見えません
Photo下:個性的なフォームを正面からどうぞ