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中国リポート

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 すでに北京五輪・卓球競技の各大陸予選や、世界最終予選はすべて終了。各大陸予選では出場権を賭けて、五輪本大会に勝るとも劣らぬ激しい戦いが繰り広げられた。
 予選を通過し、あるいは世界ランキングの自動出場枠によって、晴れて代表の座を手にした選手たち。しかし、その時点ではまだ彼らの五輪出場は確定ではない。今年4月4日に卓球・日本代表の6選手が、日本オリンピック委員会(JOC)によって「五輪代表選手」として認定されたように、各国のオリンピック委員会の認定が必要となる。

 先月5~8日、ニューカレドニアで行われた北京五輪・オセアニア予選。予選リーグ・本選を通じて2ゲームしか落とさず、1位通過を決めたのがニュージーランドのリー・カレン(中国名:李ジン(王+晋)麗)。ニュージーランドのリーと聞いて、ピンと来る方もいるかもしれない。日本リーグの池田銀行や健勝苑愛媛でも活躍したリー・チュンリー(李春麗)の妹さんだ。
 圧倒的な強さで五輪出場権を獲得したリー・カレン。ところが、彼女を待っていたのは悲劇的な結末だった。ニュージーランド・オリンピック委員会には「個人スポーツの場合、世界のベスト16以内に入る可能性がある選手」のみ五輪代表として認定するという規定があり、世界ランキング153位のリー・カレンはなんと出場権を獲得しながら、五輪代表に認定されなかったのだ。

 少なくとも名目上は「参加することに意義がある」五輪に対して、かなり乱暴に思えるこのニュージーランド五輪委員会の規定。確かにリー・カレンが北京五輪でベスト16に入る可能性はかなり低いが、卓球は水泳や陸上のような記録競技とは違って、どんな番狂わせが起こるかわからない。
 「(153位という)ランキングは彼女の競技レベルを正確に反映したものではない。(ニュージーランドでは)卓球のようなマイナーなスポーツに与えられる予算は少なく、世界ランキングを上げられる大会には十分に出場できない」。これはニュージーランドのニュースサイト「Stuff.co.nz」に掲載された、ニュージーランド卓球協会の競技力向上委員長シェイン・ウォーブルック氏のコメントだ。プロツアーなどの大会へほとんど参戦できず、世界ランキングを上げられないリー・カレンにとって、ニュージーランド五輪委員会の裁定はあまりに無情ではないか。

 リー・カレンの欠場によって、オセアニア予選4位のミャオ・ミャオ(オーストラリア)が代替出場、オセアニア予選の男女3つの出場枠はすべてオーストラリアが独占した。1988年ソウル五輪から卓球競技に出場を続けていたニュージーランドは、はじめて代表選手を送り込むことができなかった。

Photo:04年アテネ五輪でのリー・カレン。姉のリー・チュンリーとのダブルスでベスト16に入った