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中国リポート

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 1978年6月18日生まれの王励勤が、今日6月18日で30歳のバースデイを迎えた。30歳で現役の世界チャンピオン、30歳で五輪代表、いずれも中国選手としては前例がない。節制された競技生活がもたらした勲章と言えるだろう。
 昨年の29歳のバースデイには、スポンサー契約を結んでいる李寧が誕生日前日に誕生記念パーティを開催。全国各地から熱狂的な王励勤ファンが北京に集まり、王励勤と歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、果ては王励勤に手縫いの抱き枕(!)をプレゼントしたファンまでいたが、五輪直前の集合訓練を控えた今年はそんな余裕はなさそうだ。

 シニアクラスの代表として国際舞台にデビューした1996年以来、最も苦しい時期を迎えている王励勤。プロツアーでは最後に優勝した06年フォルクスワーゲンオープン荻村杯から、16大会連続でタイトルに見放されている。王皓、馬琳、馬龍といったチームメイトが優勝していく中で、準優勝3回、3位7回。3月のクウェートオープンではレグー(フランス)、そして先日のTMSシンガポールオープンでは張ユク(中国香港)に敗れてベスト32に甘んじるなど、その不調は深刻。世界ランキングでも後輩の馬龍に抜かれ、4位に後退している。

 現世界王者はすでに、選手としてのピークを過ぎているのだろうか?
 右膝の故障が癒えないまま引退した劉国正のような例もあるが、中国選手にとっては精神面の疲弊が引退の引き金となることが多い。卓球王国・中国を背負うプレッシャーや、若手選手からの突き上げの中で、代表選手を長年務めるのは容易ではないだろう。王励勤はフィジカル面なら、今でも国家男子チームのトップクラス。年齢的な不安はない。やはり世界デビューした当時の、無心な爆発力が五輪での金メダルには不可欠ではないか。デビュー当時の王励勤の試合で、今でも強烈な印象を残しているのが、98年のITTFプロツアー・グランドファイナル1回戦、対サムソノフ戦。破壊的な3球目回り込みドライブと、前陣カウンタードライブで当時世界ランキング1位のサムソノフを完封、17・4・8という一方的なスコアで下し、初のタイトルを獲得している。

 88年ソウル五輪の劉南奎、96年アトランタ五輪の劉国梁、そして04年アテネ五輪の柳承敏。五輪シングルスでは初出場の若武者が勢いに乗り、一気にタイトルを獲得するケースが多い。鉄壁のバックハンドを軸に完成されたオールラウンドプレーを見せる王励勤、思い切ったモデルチェンジをしてくるのか、それとも…。

Photo上:98年プロツアーグランドファイナルで初優勝した時の王励勤
Photo下:世界団体戦決勝では3番で優勝を決めたが…