スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 今月6日に閉幕したテニスの4大大会の最高峰、「ウインブルドン」こと全英ローンテニス選手権。女子シングルス決勝はビーナスとセリーナのウイリアムズ姉妹対決となったが、主催者推薦から彗星のごとくベスト4まで勝ち上がったのが中国の鄭潔(ヂョン・ジエ)。世界ランキング1位のイワノビッチ(セルビア)ら強豪を破り、4大大会では中国人初のベスト4入りとなった。四川省成都市の出身である鄭が、獲得した賞金はすべて四川大地震への義援金に当てると表明したことも大きな話題となり、新たな国民的ヒロインの誕生を予感させる。
 鄭潔は公式プロフィールだと身長164cm。対戦したイワノビッチ(185cm)、バイディソワ(183cm)、S.ウイリアムズ(175cm)と比べると体格はかなり小柄。パワーテニスの元祖とも言えるS.ウイリアムズには敗れたが、両ハンドからピッチの早いストローク戦で欧州の強打者たちを次々と沈めた。16歳で四川省チーム入り、18歳で国家チーム入りと国内で育ってきた選手だけに、中国がテニスでもそれだけの選手育成力を秘めているのは驚きだ。

 中国ではゴルフとともに、プレーすることがひとつのステータスとも言えるテニス。しかし1970年代まで、特に文化大革命のさなかにはテニスも「ブルジョアのスポーツ」として禁止されていた。中国テニス協会が国際テニス連盟に加盟したのは1981年になってからだ。卓球が中国を代表するスポーツとなる一方で、いわばその親であるテニスは長く不遇の時代を送り、世界への道を閉ざされていた。鄭潔がウインブルドンで活躍した数日間は、中国の建国以来初めて、テニスが卓球を上回った瞬間だったのかもしれない。
 これまでは五輪でもトップ選手が参加しなかったテニスだが、北京五輪にはスイス選手団の旗手を務めるロジャー・フェデラー(世界ランキング1位)をはじめ、トップランカーが軒並み参戦。かつてないハイレベルな戦いが予想される。ちなみにテニスが五輪の正式競技に加わったのも、卓球と同じく1988年ソウル五輪から。かつては卓球もテニスも、プロとアマチュアの区別が明確でないことから、五輪競技に加わることができなかったのだとか。

 中国リポート、アップの間隔が長く空いてしまい、誠に申し訳ありません。しかも久々の内容が「テニス」。…筆者は中学生時代からウインブルドンの熱烈なファンであります。

Photo:中国卓球界イチのテニス好きといえばこの人、蔡振華。昨年11月に上海で行われたマスターズカップも観戦に訪れた