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中国リポート

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 少し前のニュースになるが、北京五輪女子団体戦で、シンガポール独立以来初のメダルを獲得したシンガポール女子チームに対し、シンガポールオリンピック委員会(SNOC)は報奨金として75万シンガポールドル(約5,400万円)を授与。9月17日、シンガポールの観光名所である世界最大の観覧車「シンガポール・フライヤー」に隣接するホールで、授与式および祝賀パーティが開催された。

 シンガポールオリンピック委員会のテオ・チーヒエン会長から、75万シンガポールドルの大きなボードを受け取ったリ・ジャウェイ、王越古、馮天薇の3選手。このうち15万シンガポールドルはシンガポール卓球協会に持っていかれてしまい、ひとり当たりの報奨金は20万シンガポールドル(約1,440万円)となる。
 シンガポールには1995年からMAP(Multi-Million Dollar Award Program)という報奨金制度がある。団体戦の金メダルは報奨金150万シンガポールドル(約1億800万円)、シングルスの金メダルは100万シンガポールドル(約7200万円)というから、報奨金ではシンガポールが世界一と言われるのもうなずける。

 大金を手にした3選手だが、これまでにも東南アジアオリンピックなどで多くの報奨金を受けてきたリ・ジャウェイは、「賞金はみな同じお金。私にとってはメダルのほうが大事」とクールなコメント。王越古は、収入はすべて母親の管理に任せているそうだ。
 一方、この授与式の翌日、故郷である黒龍江省ハルビン市に帰省した馮天薇は、「このお金で母親に新しい家を買ってあげたい」と泣かせるコメント。15歳の時に父親を亡くした馮天薇は、これまで母親に収入のほとんどを渡し続けている。決して裕福ではない中で、彼女の母親は夫が病に倒れたあとも、体育学校の学費を必死で稼いでくれたそうだ。母親に少しでも多くのお金を送ることが、馮天薇のモチベーションのひとつになっているのだろう。「ロンドン五輪では必ずシングルスのメダルを獲る」と明言、まだまだ強くなりそうな22歳だ。

Photo上・中:表彰式の様子と、初めて五輪で掲揚されたシンガポール国旗(左端)
Photo下:真摯なプレーにも好感が持てる馮天薇