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中国リポート

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 10月9日の深夜11時過ぎ、北京市中心部の西城区にある大型ビル、騰達大厦でひとりの若い男がガードマンと揉み合いになった。男はしたたかに酔っており、駐車場の花壇で立ち小便をしていたのを、ガードマンに止められたのだ。4~5人のガードマンや駐車場の管理人まで現れ、ちょっとした騒ぎになったが、男は通報を受けた警察官によって近くにある甘家口派出所まで連行された。
 その夜のうちに男はガードマンたちに謝罪し、大きな事件にはならずに済んだが、「悪事千里を走る」のことわざどおり、男の名前は中国全土を駆け巡った。8月の北京五輪で団体金メダル、シングルス銀メダルを獲得したばかりの王皓だ。

 ガードマンたちと揉み合いになった際に「有名な王皓だぞ!」「俺は世界チャンピオンだ!」「おまえを殴ったから何だっていうんだ!」と怒鳴ったり、ガードマンを4回蹴飛ばしたとも報道されている。中国のマスコミは誤報や誇大表現が多いので、すべてを鵜呑みにするわけにはいかないが、泥酔して暴れたことは確かなようだ。裏面打法の教祖のご乱行、決して伝えたいニュースではない。

 現在は超級リーグのシーズン中のため、国家チームの選手たちはそれぞれの所属する省チームに戻り、国家チームとしての管理下にはない。国家チームのマネージャーである黄ピャオ氏も「各クラブの選手への管理強化を望むとともに、国家チームはクラブの処罰を尊重する」と発言している。王皓の場合は所属が人民解放軍=軍隊のため、母体の処罰を尊重するということだろう。しかし、今後国家チームからも処罰が下される可能性はありそうだ。
 八一解放軍チームの王涛総監督によれば、王皓の処分は近いうちに決定され、超級リーグには出場させるとのこと。当初は王皓の申し出で2,000元(約3万円)をガードマンに賠償することになっていたのが、翌日になって相手側が賠償額を1万元(約15万円)につり上げてきたことが王涛を怒らせているようだが、すべて身から出たサビだろう。

 中国では全スポーツ選手の模範たる卓球選手、しかも人民解放軍の軍人である王皓。酒の上での失敗とはいえ、この汚名を返上するのは並大抵ではない。

Photo:北京五輪シングルス表彰で敬礼する王皓。軍人が酒に飲まれては…