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中国リポート

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 今年9月1日、ついにノングルー時代の幕が開いた。トップ選手のほぼ100%が使用していたスピードグルーは禁止となり、すでに1年前からノングルー時代を迎えた日本では、あの有機溶剤系の強烈な刺激臭も、はや追憶の彼方へと消えつつある。
 2008中国超級リーグでも、開幕直前にラケットコントロール(検査)に関する通知が出され、すべての試合でラケットの検査が行われている。9月24日に発布された「2008中国卓球クラブ超級リーグ ラケットコントロールの方法に関する通知」の内容を紹介しよう。

 まず、ラケットコントロールは超級リーグのすべての試合で、すべての選手に対して行われる。検査に使用されるのはITTF公認の検査機器「ENEZ(イーネッツ)」だ。各クラブは少なくとも1台の検査機器を配備することが求められる。
 ラケットコントロールが行われるのは、試合開始の30分前。選手全員のラケットが集められ、検査終了後、ラケットは試合責任者が保管する。第1試合を戦う選手は、ラケットを受け取ってそのままコートに入り、第2試合以降の選手は、検査を通過したラケットを受け取っても良いし、そのまま預けておいて、自分の出番の時に受け取っても良い。ただし、検査が終わってすぐにラケットを受け取った選手は、自分が出場する試合の前の試合(第4試合に出場なら第3試合)が始まると同時に、ラケットを再び検査に提出しなければならない。これはすり替えを防ぐためだが、実際にはラケットをそのまま預けておく選手がほとんどだろう。

 また、ラケットコントロールでトラブルが発生しないよう、選手たちは自主的に事前検査を行う。事前検査とラケットコントロールには、双方のチームから1名ずつ現場監督を派遣、事前検査は朝10時から行われる相互ミーティングの直後に行われる。その他にも、条文3-1には「ホーム・アウェーの選手とも、少なくとも1本のスペアラケット、および水溶性接着剤と何枚かのラバーを準備しておくことが望ましい(ラバーは事前に空気に触れさせておくこと)」という一文もあり、文章を見る限り、ノングルーへの取り組みはなかなかしっかりしている。

 ただし、もともと粘着性ラバーに十回、二十回とグルーイングをしていた中国選手たち。バック面ならまだしも、弾むからといってフォア面にいきなりドイツ系のテンションラバーを貼るわけにはいかない。検査機器に反応しない補助剤の使用、またラケットの平坦性を失わない程度に中央部分にだけ補助剤を塗り、厚さで検査にひっかからないようにするなど、抜け道もいろいろ模索されているようだ。「ENEZ」が補助剤に対して確実な検査機器でない以上、ルールでは禁止されているとはいえ、補助剤を使い続ける選手が後を絶たないだろう。
 中国はどのようにノングルーに対応していくのか。秋の欧州プロツアーシリーズでの中国選手の戦いぶりにも注目してみたい。

Photo:中国選手の中でも、すばやくノングルーに対応しているハオ帥。ノングルー後、初の国際大会であるパナソニック中国オープンで優勝、復活の兆しを見せている