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中国リポート

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 中国は1979年から、国家体育総局の前身である国家体育運動委員会によって、その年に最も活躍したスポーツ選手10人を「全国十佳運動員(十大優秀選手)」として表彰してきた。この「十佳運動員」に選ばれるのは、「一流選手の中の一流選手」というお墨付きを頂くことであり、中国のスポーツ選手にとっては非常な名誉。毎年、男子選手と女子選手の割合は必ずしも5対5ではなく、年によっては7対3だったり、4対6だったりする。
 卓球界からは、第1回の「十佳運動員」に79年世界選手権ピョンヤン大会で優勝した葛新愛が選ばれて以来、毎年のように選手が選ばれてきた。2007年までの29回のうち、卓球選手が選出されなかった年は1984年、1986年、2006年の3回しかない。トウ亜萍が7回、王楠が6回、郭躍華が4回選ばれるなど、やはり中国のスポーツ界では卓球は花形なのだ。

 2004年までは優秀な選手を10人選ぶだけだったこの「全国十佳運動員」、2005年から10部門での優秀選手を選出する「中国十佳ローレウス冠軍奨」として生まれ変わった。ローレウスというのは、スポーツ振興およびスポーツを通じた慈善活動を行う非営利団体「ローレウス」のこと。メルセデス・ベンツで有名なダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)と、カルティエやダンヒルなどを傘下に置くスイスのリシュモン・グループによって設立された。世界中のスポーツ・ジャーナリストと、往年のスター選手で構成されたローレウス・アカデミー会員の投票によって決定する「ローレウス世界スポーツ賞(The Laureus World Sports Awards/2000年~)」は“スポーツ界のアカデミー賞”とまで言われており、「中国十大ローレウス冠軍奨」はその中国版ということになる。

 さて、かなり古いニュースになってしまって恐縮なのだが、今年も11月21日に、この「中国十佳ローレウス冠軍奨」の授賞式典が北京で開催された。最優秀男子/女子選手、最優秀チーム賞、最優秀コーチ賞、最優秀男子/女子新人賞、最優秀障害者選手賞、最優秀ペア賞などの10部門で選出される「中国十佳ローレウス冠軍奨」。100万票を超える投票があったネット投票が11月19日に終了し、このネット投票の上位3名を「中国十佳ローレウス冠軍委員会」のメンバーが審査して、各部門の最優秀賞を決定した。ちなみに冠軍委員会の委員長は、ローレウス・アカデミーの会員でもあるトウ亜萍だ。
 各部門でのネット投票による、卓球選手の得票は以下のとおり。(%は全体での得票率)

★最優秀男子選手賞  3位:馬琳(16.43%)/8位:王皓(1.23%)/12位:王励勤(0.21%)
★最優秀女子選手賞  1位:張怡寧(24.34%)/7位:郭躍(5.43%)
★最優秀チーム賞   1位:中国卓球チーム(45.95%)
★最優秀コーチ賞   2位:劉国梁(17.96%)/3位:施之皓(15.58%)
★最優秀障害者選手賞 3位:葛楊(13.89%/北京パラリンピック男子立位9-10優勝)

 ネット投票の結果が覆ることはほとんどなく、この順位のまま、張怡寧が最優秀女子選手賞、中国卓球チームが最優秀チーム賞に輝いた。…ちなみに筆者も張怡寧に一票を投じている。授賞式典では普段のクールな表情とは一転、満面の笑顔を見せた張怡寧。2位の郭晶晶(水泳・板飛込み)に大差を付け、2005年に続く2回目の最優秀賞獲得。人気でも中国でトップクラスであることを印象づけた。
 男子で北京五輪2冠の馬琳は惜しくも3位。男子体操チームのエースである楊威が最優秀男子選手賞となった。惜しまれるのは最優秀コーチ賞で、授賞したのは中国体操チームの黄玉斌総監督、得票率は24.83%だった。相手は国家チームの総監督、卓球チームも2位と3位の男女監督ふたりの票を足せば、確実に追い抜けたのだが…。

Photo上:張怡寧、その人気を改めて見せつけた
Photo下:馬琳、1位との差は僅差だが…