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中国リポート

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 11月25~26日に江蘇省・張家港市で行われた「国家チーム監督・コーチ選考会」を受け、今月8日、国家男女チームのコーチングスタッフが発表された。
 最大の関心事となっていたのは、現監督の施之皓と、新たに監督に立候補した孔令輝の一騎打ちとなった女子チーム監督の人事。マスコミや卓球ファンの間では、孔令輝の監督就任を後押しする声も多かったが、結局施之皓監督の留任が決定。他に立候補者がおらず、留任した男子チームの劉国梁監督とともに、新たな4年間へのスタートを切った

 異例とも思えるほど、長い時間をかけて行われた女子チームの監督選考。施之皓の監督留任のひとつの要因となったのが、選考会の際に行われた投票だった。これは直接人選に影響するものではないが、選考会の最後に国家チームや国家体育総局・卓球バドミントン管理センターの首脳陣、全国の省・市チームの監督など、約80名によって行われ、施之皓が得票数で孔令輝に大差をつけた。
 「マスコミなどでは孔令輝の前評判が高かった。彼は優秀な選手であり、指導する選手たちも順調な成長を見せている。しかし、やはり指導者としての総合的な能力、そして指導に対する責任感という点で、各チームの監督たちの間では施之皓に投票する者が多かったようだ」(卓球バドミントン管理センター・劉風岩副主任)。施之皓が監督を落選した場合、卓球・バドミントン管理センターに前職に見合うだけのポストが空いていないことも、施之皓が票を集める理由になったようだ。

 結局、これまでどおり国家女子1軍チームで郭躍・劉詩ウェン・姚彦・木子の指導に当たることになった孔令輝。監督就任は、やはり時期尚早ではなかっただろうか。男子チームの劉国梁監督も、現役を引退して1年あまりで監督に就任したが、当時は蔡振華が卓球バドミントン管理センターの副主任に昇進し、男子チームの監督は空位のような状態だった。施之皓が2年間監督を務め、孔令輝に引き継ぐという折衷案もあったようだが、結局は孔令輝にはもう少し経験を積ませるという結論に達したようだ。

 両監督とも、任期は2012年ロンドン五輪終了まで。しかし、毎年全中国選手権後に行われる信任投票で50%以上の得票がなければ、解任の可能性もある。「国家チームのコーチは『鉄飯碗(ティエファンワン)』ではない」とは蔡振華の言葉。『鉄飯碗』=落としても割れない鉄の茶碗というのは、解雇され、食い扶持を失う心配がないということ。かつての中国の国営企業などの雇用待遇を指した言葉だ。国家チームのコーチには、常に結果を出していく姿勢が求められている。

Photo上:海外でのコーチ経験も豊富な施之皓、孔令輝との一騎打ちを制す
Photo下:男子監督の重責をよく果たしている劉国梁