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中国リポート

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 昨日の中国リポートでお伝えした、「直通横浜」という代表選考制度。中国が国の代表を選ぶ上で、このような競争制度を採用したのは大きなターニングポイントと言えるかもしれない。「選手たちが人民の代表、国の代表として世界選手権に出場する以上、その出場権は選手個人ではなく国に帰属する」というのが、これまでの中国の一貫した論理であり、代表選考から大会での勝敗まで、すべて国が決定してきた。もちろん代表選考会が行われても、代表の最終的な決定権は国に委ねられるが、スポーツの世界にも自由競争が取り入れられてきているのだ。
 もっとも、現在では国家チームのメンバーは「80後」「90後」と呼ばれる80年代、90年代生まれの選手がほとんど。「改革開放」の申し子たちに、黙々と国の決定に従い、国のために戦え、というのはちょっと無理がありそうだ。

 国家男子チームの劉国梁監督は、「新浪体育」(中国の最大手ポータルサイト新浪のスポーツページ)の取材に対し、「公平・公開・公正」というスローガンのもと、代表選考会のみならず、ポイント制によるランキングシステムを取り入れていく考えを明らかにしている。
 「我々はポイント制をより拡充させていきたい。それは国家チーム内でのポイント、プロツアーでのポイント、世界大会でのポイントがすべて含まれるもので、今年1月のトーナメント・オブ・チャンピオンズからすでに開始されている。ポイントシステムは誰にとっても公平なものであり、五輪金メダリストの馬琳もチーム内のポイントはゼロからのスタートになる(劉国梁監督/出典『新浪体育』)」
  
 上記の「新浪体育」の記事によれば、若手のみが派遣されるプロツアーは0.5ポイント、主力級がすべて派遣されるプロツアーやトーナメント・オブ・チャンピオンズなどは1ポイント、ワールドカップは2ポイント、世界選手権は4ポイントとして計算されるという。また、ワールドカップのように出場者が限られる場合は、外国選手に敗れた場合1ポイントが引かれる。09年1月26日現在、行われた国際大会は11日に終了したトーナメント・オブ・チャンピオンズのみなので、優勝した王皓が暫定のランキング1位というわけだ。
 このランキングによって、ロンドン五輪の代表メンバーを決定するという劉国梁監督。ランキングは選手たちにも公開され、彼らにとって大きな刺激となり、励みともなる。男子チームだけでなく、女子チームにもランキングが採用されるのかは現時点ではわからないが、果たしてこの試み、どれほどの実質的な成果を上げるのか。

Photo上:「これまでは五輪代表の3人を中心にしてチームが回ってきたが、これからはそのような状況はあり得ない」と述べた劉国梁
Photo下:男子チームで暫定ランキング1位の王皓