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中国リポート

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 少し前のニュースになるが、2月26日、江蘇省太倉市にある五つ星ホテル「錦江国際大酒店」で、中国卓球協会の「2009年全国卓球工作会議」が行われた。蔡振華の中国卓球協会会長への就任をお伝えした、幹部交替会議に先立って開催されたものだ。中国卓球協会の幹部や国家チームのコーチ陣、各省の体育局の卓球担当、北京・上海・遼寧などの有力な省チームのコーチなどが一同に会する盛大なものとなった。

 「全国卓球工作会議」で最も注目を集めたのは、国家男女チームの監督による北京五輪の報告、そして2012年ロンドン五輪までの抱負と計画の発表だ。
 まず、国家男子チームの劉国梁監督は「実際には、現在の状況は皆さんが思っているほど楽観的なものではない。我々のチームの実力は、まだ天下無敵というような強さには至っていない」といきなりシビアな発言。「ノングルー時代を迎えて、技術力も弱められた部分があるし、攻撃の威力も低下していて、まだ完全にノングルーに対応したとは言えない」。実際に、カットマンに無類の強さを誇っていた王励勤がクウェートオープンで朱世赫(韓国)に敗れ、カタールオープンでは陳杞や馬琳がボル(ドイツ)に敗れている。北京五輪での歴史的大勝にも、いつまでも浸っていられないはずだ。

 今年から重点強化選手として、馬琳・王皓・王励勤・馬龍・陳杞の5人に、ハオ帥・張継科・許シンの3人を加えた8人を確定させていた国家男子チーム。その上で劉国梁監督は、チーム内の競争をより促進するため、この8人を4つのクラスに分けることを発表した。
 第1クラスには、世界チャンピオンの王励勤と五輪金メダリストの馬琳が選出された。最近では若手にやられることもたびたびだが、やはりこれまでの実績がモノを言う。いわば「現役チャンピオン」クラス。
 第2クラスは現在世界ランキング1位の王皓と、2位の馬龍。実力的には王励勤・馬琳に劣らず、若くて勢いはあるが、まだビッグタイトルは手中にしていない。「チャンピオンは目の前」クラスといったところか。
 第3クラスはハオ帥と陳杞。ともにサウスポーで、国家チーム内では典型的なライバル関係にあるふたり。しかし、なかなか壁を破れないまま、若手の突き上げを食らっている。お尻に火のついた「目指せ中堅脱出」クラスだ。
 第4クラスは張継科と許シン。まだまだ勉強中、しかし将来的には世界のトップに行く可能性もある。将来性に期待の「未来のチャンピオン候補」クラスか。

 …クラスの名前は筆者が勝手につけてしまったが、8人を単純に競争させるのではなく、ライバル関係の選手同士をひとつのクラスにして、さらに序列をつけることでより競争をあおるというやり方だ。もちろん大会の成績次第では、この4クラスの中で位置が上下することもある。このクラス分けは、あくまでもスタートラインなのだ。それにしても、国家チームの首脳陣がここまでして選手の競争をあおる国が、中国の他にあるだろうか。

 「『再び栄光を手にする』という信念は、すでに我々のチームのすべての人間の胸にしっかりと宿っている」と決意のほどを述べた劉国梁監督。ロンドン五輪までの4年間に次のような段階分けをして、再びメダル独占を狙っている。
「2009年是起歩年(着手する年)」
「2010年為基礎年(基礎を固める年)」
「2011年為重点年(重点強化の年)」
「2012年定位冲刺年(ラスト・スパートの年)」

Photo上:劉国梁監督、油断の色は見られず
Photo中・下:中国卓球界の「龍虎」、王励勤と馬琳が最上位クラスへ