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中国リポート

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 今回のH.I.S.世界卓球選手権横浜大会で、中国選手団の団長として来日した中国卓球協会の蔡振華会長。横浜大会最終日に会見を行い、「卓球はすでに非常に危険な状態を迎えている」と述べた。
「中国という単一の協会にとって、あるいは選手やコーチたちにとっては、タイトルの独占は偉大な成果と言えるだろう。しかし、卓球というスポーツの世界的な発展を語る上では、非常に危険な状態と言わざるを得ない。
 すでに(中国卓球協会の)幹部交替会議の席上でも述べたが、我々は卓球というスポーツにおいて、中国の発展だけではなく、世界規模での発展を考えなければならない。中国人だけでなく、世界のより多くの人たちが卓球の楽しさを享受するべきなのだ」(蔡振華会長)。

 そして、蔡振華会長は、今回の混合ダブルスで中国が王励勤/郭躍をはじめ、主力選手をエントリーしなかったことについて、次のように述べている。
「今回の混合ダブルスでは、我々は若い選手たちをエントリーさせた。大部分は初出場の選手たちだ。主力選手たちをエントリーさせなかったのは、今回の世界選手権で、他の協会の選手たちが良い成績を残すのを期待してのことだった。しかし、現実は我々の失敗を証明している。この目標は達成できなかったのだ。
 金メダルを独占することを望まないからといって、選手たちに金メダルを獲らせないようにするのは不可能だ。そんなことをすれば選手やコーチたちがモチベーションを失ってしまうし、海外からは『勝敗操作だ』『スポーツマンシップに反する』と批判されるだろう」

 今大会期間中のアダム・シャララITTF会長での記者会見では、中国のマスコミから「中国が(ダブルス種目で)トップ選手をエントリーしなかったことについて、ITTFによる圧力や、密約があったのではないか?」という質問が相次いだが、中国による自発的な行動だったと蔡会長は明かしている。
 「大会のステータスが落ちる」「一種の勝敗操作だ」という声もあるだろうが、それでも中国がベスト4を独占してしまったのだから、批判の声も霞む。「(混合ダブルスでの)中国選手の優位は変わらず、海外の選手たちは予想以上に実力が低かった。特に欧州選手は、技術面での改革が進んでいない」(蔡振華会長)。

 「おまけをする」「手心を加える」ことを中国語では「放水(ファンシュイ)」と言うそうだ。今回の中国卓球協会のエントリー変更については、「蔡振華承認“放水”失敗(蔡振華は“放水”が失敗に終わったことを認めた)」などの報道がなされている。日本チームも、ひと泡吹かせたいところだったが…。3ペアしか出場しない男女ダブルスはともかく、混合ダブルスで7ペアをエントリーする中国の壁は、やはり厚かった。

Photo上:中国がベスト4を独占した混合ダブルス表彰式。中国はなんと10大会連続での混合ダブルス制覇となった
Photo下:翻った4枚の五星紅旗