スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 「真の中国チャンピオン決定戦」とも言える全中国運動会。男女シングルス(決勝トーナメント)に出場するのは、男子38人、女子39人。妙な端数(はすう)であるうえ、女子のほうがひとり多いあたりが何となく「大陸的」だ。
 左は男子シングルス(上)と女子シングルス(下)のトーナメント表(※クリックで拡大)。黒数字は現在世界ランキングを持っている選手のランキング、グレー数字は以前世界ランキングを持っていた選手の最高位のランキングを表している。第1シードの王皓と張怡寧、第2シードの郭躍と馬龍はともに世界ランキングの1位と2位。男子は15人、女子は14人が世界ランキングのトップ50に入っており、「世界選手権より勝つのが難しい」と言われるのも決して誇張ではないことが、お分かり頂けるだろう。

★★★ 男子シングルス ★★★

 チャンピオンは、100%に近い確率で8人の重点強化選手(王皓・馬龍・馬琳・王励勤・陳杞・ハオ帥・張継科・許シン)の中から誕生するだろう。その中でもやはり優勝候補の筆頭は、現世界チャンピオンの王皓(解放軍)。今年は念願の世界選手権のタイトルを獲得。やや体重が増えているのが気になるが、プレースタイルの完成度は高く、ビッグタイトルを獲得したことで精神的にも余裕を持って戦えそうだ。対抗は第2シードの馬龍(北京市)。超級リーグで今季34勝6敗、弱冠20歳にして技術的にはチャンピオンの名に恥じないものがあり、長丁場の全中国運動会では体力面のアドバンテージも優位に働くだろう。
 優勝候補の双璧である王皓と馬龍だが、王皓は今回優勝を逃すと4年後の第12回大会では30歳と、選手としてのピークをやや過ぎてしまう。一方の馬龍は24歳、まさに選手としてのピークに差しかかる。前回の05年大会決勝で王励勤に完敗を喫していること、年齢的に今回がほぼラストチャンスであることを考えると、大会にかける意気込みという点では王皓がやや上回っているか…?
 王皓、馬龍に続く3番手には、ともに優勝経験のある王励勤と馬琳のふたりが入ってくる。ドローを見ると馬琳が許シンか李静、王励勤がハオ帥に準々決勝で当たる組み合わせ。ここはしっかり勝ち抜きそうだ。王励勤が優勝すれば、男子では大会初の2連覇ということになる。そして注目すべきは、昨年の全中国チャンピオンである張継科。精神面の脆(もろ)さにやや不安があるが、全中国選手権では馬琳・王励勤・王皓を連破して優勝。準々決勝で馬龍と当たる厳しい組み合わせだが、地元青島の出身ということもあり、ダークホースのひとりと言える。

☆☆☆ 女子シングルス ☆☆☆

 第1シードの張怡寧が大会2連覇を狙う。ブロックのドローを見ても、準決勝までは問題なく勝ち上がるだろう。近年やや故障が多いが、死角のない両ハンド攻守のプレースタイルは円熟の極みにあり、女子ダブルス・混合ダブルスに出場しないため、体力的にも不安はなさそうだ。
 第4シードの劉詩ウェンのブロックは、劉詩ウェンがシードを守って勝ち上がりそうだが、劉詩ウェンの運命を左右するのは、世界ランキング11位の丁寧の勝ち上がり。2回戦の范瑛vs.馮亜蘭の対戦で范瑛が勝利すれば、范瑛は続いてカット打ちの苦手な丁寧を破り、準々決勝まで上がってくるだろう。そうなれば、カットを苦にしない劉詩ウェンの準決勝進出はまず問題ない。しかし、范瑛が馮亜蘭に敗れた場合、丁寧がその馮亜蘭を破って準々決勝に進む可能性が高く、劉詩ウェンにとっては準決勝進出を賭けた厳しい一戦となる。
 第3シードの李暁霞のブロックは、準々決勝で李暁霞vs.郭炎の大一番が実現しそうだ。郭炎はおそらく今大会が現役最後の全中国運動会、これまで全中国のシングルスでは良いところがないが、侮れない実力者。そして第2シードの郭躍は、首の故障からどこまで復調してくるか。準々決勝の対戦相手は世界選手権横浜大会で大苦戦した姜華君か、全中国チャンピオンの文佳。準決勝で李暁霞との「永遠のライバル対決」に臨むまでは負けられない。

 会場も熱い盛り上がりが予想される全中国運動会・卓球競技。中国リポート担当も大会に潜入、大会の模様をリポートする予定です。ご期待下さい!