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中国リポート

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 9月9日、重陽節を迎えた北京市で中国卓球クラブ超級リーグの総括大会が開催され、馬龍が男子選手のMVP、劉詩ウェンが女子選手のMVPに選ばれた。
 2シーズン連続のMVP、しかも今シーズンはチームを優勝へ導いた馬龍は、「2年連続でMVPを獲得できたことは本当に嬉しいし、その他の大会でも良いプレーができたと思う」とコメント。充実した超級リーグのシーズンを終えた。一方の劉詩ウェンは、「今シーズンは試合数が本当に多くて、二カ月ちょっとで40試合も戦ったけど、MVPを獲得できた。夢に見ていた目標がひとつ叶いました」と初々しいコメントを残した。
 今シーズンから超級リーグの男女MVPの選手には、超級リーグのスポンサーである宝飾品チェーンの『周大福』から「MVPリング」が贈られる。台座に3本のラケットを配し、龍や花紋があしらわれたこのリングはなんと時価7万元(日本円で100万円相当)。しかし、惜しむらくはサイズが特大で、馬龍でもブカブカ、劉詩ウェンは親指でもまだ大きかったという。…せっかくならサイズくらい合わせればいいのに、と思うのだが、ふたりが激太りでもしない限り、記念品として飾っておくことになりそうだ。

 また、総括大会では中国卓球協会の蔡振華会長と、国家体育総局卓球・バドミントン管理センターの劉風岩主任の記者会見も行われた。蔡振華会長は会見で、超級リーグの試合時間の長さについて言及。「超級リーグの試合は3時間から4時間にも及び、試合が夜の11時までかかることも珍しくない。テレビでの放映にも影響が出ている。もし試合時間を短くできれば、卓球ファンの子どもたちを試合に引きつける効果もあるはずだ」(蔡振華)。
 さらに蔡会長は次のような提案をしている。「回転は卓球の試合の中で非常に大切な要素でありながら、現在観客にとって最も分かりにくいものになっている。中国卓球協会は超級リーグへの導入を目指して、すでに回転がわかりやすいカラーボールや、黒と白に色分けしたピンポン球などの試作を始め、年内にテストする予定だ。卓球台もよりビジュアル的に優れたものにしていきたい」。日本でもレジャー用の卓球セットにラインの入ったピンポン球が入っていたり、回転がわかりやすいようにマジックでピンポン球を色分けする指導者の方はいるが、それを超級リーグで正式に導入する動きがあるというのだ。これは実際に試合を見ている観客よりも、むしろアップやスロー再生が入るテレビ中継を念頭に置いた発言か。卓球が「観るスポーツ」として受け入れられる一助になるとすれば、非常に興味深い。

 劉風岩主任は、超級リーグの「外援(助っ人外国人選手)」について、「外国人選手の受け入れが不十分だったのは、今シーズンの超級リーグの課題のひとつ。将来的には外援の人数制限などもなくして、より多くの他協会の選手をリーグに呼び込んでいきたい」とコメント。しかし、現在の超級リーグに参戦できるレベルの選手は非常に少ないし、男子のヨーロッパ選手では、プロリーグ設立が進むロシアへの移籍が増えてきている。過密なスケジュールを考えると、ベテラン選手のフル参戦も難しい。果たして来シーズン、海外のスター選手の参戦はあるのか?

Photo上:「超級リーグをNBAに」がスローガンの蔡振華
Photo下:孤軍奮闘したシーズンが報われたか、女子MVPの劉詩ウェン(写真は世界選手権横浜大会より)