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中国リポート

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 皆様、大変ご無沙汰を致しました。全中国運動会から帰国し、締め切りを終えた中国リポート担当兼速報担当。観戦して印象に残ったいくつかのことを、つらつらと書き連ねていきたいと思います…。

其の壱. 激太り? それでも強かった王皓

 男子団体準々決勝でコートに登場した王皓は、優勝した5月の世界選手権横浜大会の時より、明らかに体重が増えていた。筋肉で体がひと回り大きくなったのではなく、余計なものを一枚身にまとったという感じがした。左写真上は04年アテネ五輪での王皓、左写真下は全中国運動会での王皓。その差は歴然だ。横浜大会が終わって、すぐに全中国運動会予選やプロツアー、超級リーグが続くタイトなスケジュールの中で、なぜ太ってしまうのか不思議でしょうがない。ハードな筋力トレーニングを重ねている体は、太るのも早いということか…。
 しかも王皓は団体準々決勝で許シン(上海)に敗れ、団体決勝ではトップで馬琳(広東)に逆転負け。混合ダブルス決勝も序盤は明らかに緩慢なプレーで、試合中に笑みさえ浮かべていたほどだった。横浜大会での優勝が、彼から勝利へのモチベーションを奪ってしまったのか。団体戦が終わった時点では、こちらも好調とは言えないにせよ、動きの良い馬龍のほうがタイトルに近いと思われた。

 しかし、シングルスに入ってからの王皓は強かった。3回戦の唐偉(内蒙古)戦は、前日に唐偉が江天一(香港)を完璧に打ち抜いていただけに注目していたが、唐の強烈なスマッシュも中陣からの両ハンドドライブで対応し、守備の弱い唐偉のバックサイドへ威力あるボールを集めて、あっという間に料理してしまった。準決勝の許シン戦も競り合ったが、デュースの連続の中でも、無理な強攻によるミスはなく、非常に冷静にプレーしていた。

 そして男子シングルス決勝の王皓vs.馬龍は、信じられないほどハイレベルな一戦だった。何しろ、世界ランキング1位と2位のふたりが、試合後に「今までの対戦の中では最高の試合」と口を揃えたのだ。中国の国内大会ではあるが、球史に残る一戦と断言できるだろう。近年のトップクラスの試合にしては珍しく、20回以上続くフォアドライブの引き合いもしばしば展開され、賑やかな中国の観衆さえ固唾(かたず)を呑んで見守った。両者一歩も引かないラリーの中で、場内に異様な熱気が生じ、次第に膨張していくあの感覚は、今もって忘れがたい。

 王皓のプレーでひとつ印象的だったのは、決勝で3回ほど見せたフォアクロスへの打球点の低い横回転ドライブ。限界まで打球点を落とし、ネットの高さギリギリから滑り込ませるように入れる。ドライブと言ってもほとんどトップスピンはかかっていない。中国のペンホルダーの選手は、対カットなどでもこのような横回転ドライブ、あるいは横下回転ドライブ(!)を使うことがあり、馬龍のカウンターはツッツキを打った時のようにネットへ突き刺さった。王皓はこの横回転ドライブや、ダブルストップからのコースを突くフリック、弧線の低いループドライブをうまく使って得点を稼ぎ、要所では電光石火のカウンター連打。体はまだ小結くらいだが、プレーはまさに横綱相撲の貫禄で、馬龍の強攻をうまくさばいた。

 まとまりのない文章ですみませんが、その2「王励勤と馬琳の引退の時期は?」に続きます…。

Photo左:初々しい20歳の王皓(04年アテネ五輪)と、09年全中国運動会での王皓