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中国リポート

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 2月17~21日にカタール・ドーハで行われたITTFプロツアー・カタールオープン。プロツアーの中では賞金総額が3番目に高い30万ドル(約2,750万円)、世界のトップクラスが参戦するこの大会で、中国は男女シングルス・ダブルスの4種目を制したものの、幾つかのサプライズもあった。

 まず、男子シングルスで優勝したのは31歳の大ベテラン、王励勤。王励勤がプロツアーで優勝したのは06年のジャパンオープン荻村杯以来、なんと23大会ぶりだ。この間に準優勝が4回、3位が9回あるが、優勝には縁がなかった。準決勝では07年のパナソニック中国オープンで勝利して以来、国際大会では連敗に次ぐ連敗だった馬龍を4-2で撃破。今回の優勝が復活の狼煙(のろし)なのか、それとも最後の残り火なのか。まだ見極めるのは難しいが、少なくとも5月の世界団体選手権のメンバー入りに向け、大きくアピールしたことは間違いない。

 一方、その他の中国の男子選手たちは相次ぐ波乱に見舞われた。まず許シンが1回戦で、左シェークドライブ型の若武者・徐賢徳(韓国)に完敗。国際大会や超級リーグの戦績を見ると、許シンはややサウスポーを苦手とする傾向があるようだ。また、「直通莫斯科」で代表一番乗りを決めた直後の敗戦は、気の緩(ゆる)みと取られても仕方がない。このような敗戦は国家チームの首脳陣が最も嫌うところだ。
 また、3回戦では現世界チャンピオンの王皓が柳承敏(韓国)に惜敗。王皓vs柳承敏は、言わずとしれた04年アテネ五輪・男子決勝の対戦カード、この決勝での敗戦以外は、王皓が対戦成績で圧倒していた。王皓は昨年11月のアジア・ヨーロッパチャレンジ(ヨーロッパステップ)でボル(ドイツ)、七台河・国際男子卓球争覇賽で呉尚垠(韓国)と朱世赫(韓国)、12月の東アジア競技大会・男子団体決勝で水谷隼(日本)、そしてITTFトーナメント・オブ・チャンピオンズで再びボル(ドイツ)に敗れている。今回の柳承敏戦の敗戦によって、わずか4カ月の間に6回も外国選手に敗れているのだから、コーチ陣も頭が痛い。

 カタールオープンはプロツアーの主要大会でありながら、中国男子チームにとって「鬼門」とも言えるほど、不思議と相性の悪い大会だった。2005年に王励勤が男子シングルスで優勝するまで、シングルスのタイトルを獲得できなかったのだ。その王励勤の優勝で面目を保った中国だが、序盤から相次いだ番狂わせは、「カタールの呪い」が完全に消えてはいないことを改めて印象づけた。

Photo上:長いトンネルを抜け、23大会ぶりの戴冠となった王励勤
Photo下:王皓、お腹が空いて力が出ない…のか?