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中国リポート

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 2月23~27日に行われたITTFプロツアー・クウェートオープンで、世界ランキング15位の許シンがプロツアー初優勝を果たした。プロツアー出場10大会目での初優勝は王皓(8大会)には及ばないが、馬琳(10大会)と並び、また王励勤(16大会)や馬龍(17大会)を上回る記録。まだプロツアーでの優勝がないライバルの張継科を一歩先行し、中国男子チームの主力選手へ成長しつつあることをアピールした形だ。

 もっとも、クウェートオープンの前週に行われたカタールオープンでは、1回戦で徐賢徳(韓国)に敗れていた許シン。今大会でも準々決勝でプロツアー・グランドファイナルでは勝っている上海市チームの先輩・王励勤に敗れ、一度はトーナメントから姿を消していた。しかし、王励勤のラケットから基準値以上の有機溶剤が検出されて失格となったため、奇跡の復活で準決勝に進出。馬龍に終始リードを許しながら辛くも逆転勝ちを収め、決勝では馬琳に3回のマッチポイントを奪われながら、大逆転で優勝を飾った。これほどドラマチックというか、危うい低空飛行の優勝もなかなかないだろう。
 「彼はカタールオープンでは、まだ(出場権を獲得した)『直通莫斯科』での喜びに浸っている雰囲気が抜け切っていなかった。クウェートオープンもカタールオープンよりちょっと調子が良かったくらい。今回の優勝は偶然というか、ラッキーな部分もある」(許シンの担当コーチ・秦志ジェン/出典『新浪体育』)。秦コーチの意見は手厳しいが、若手選手にとって勝利は最大の栄養。許シン、今回の優勝でさらに大化けする可能性もある。

 一方、女子シングルスでは、カタールオープン決勝で郭躍にゲームオールで敗れた劉詩ウェンが、今度は決勝で福原愛(ANA)をゲームオールで破って優勝。「カタール・クウェートの両大会で優勝」という、世界団体戦の代表権獲得の条件は満たせなかったが、コーチ陣へは大きくアピールしたはずだ。「劉詩ウェンこそ女子チームの新しいリーダー」、先輩の郭躍や李暁霞を差し置いて、そう報道するマスコミも次第に増えてきている。

Photo:許シン、2010年は飛躍の年か?(写真は2010年1月のITTFプロツアー・グランドファイナル)