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中国リポート

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 許シンに続き、若手の張継科が世界団体選手権モスクワ大会の代表権を獲得した、男子の「直通莫斯科」第2ステージ。張継科はこれまで世界選手権(個人戦)で2大会に出場しているが、シングルスでの出場経験はなく、プロツアーでの優勝もない。昨年の「直通横浜」では、第1ステージでの成績の低迷とコーチへの反抗的な態度により、カタールオープンとクウェートオープンへのエントリーを取り消されている。抜群のボールセンスと高い運動能力を備えながら、ここ一番で弱気の虫が顔をのぞかせると言われてきた。
 しかし、今回の「直通莫斯科」第2ステージ決勝では、馬龍に最終ゲーム10-7のリードから10-10に追いつかれ、10-11と逆にマッチポイントを奪われたが、最後まで強打で攻め続けた。昨年9月の全中国運動会・男子団体決勝ラストで、馬琳から劇的な勝利を収めてから、成績が安定してきている。毒舌で知られる国家男子チームの劉国梁監督も、珍しく「非常完美(まさにパーフェクト)!」と最大限の賛辞。若手に自信を与えると同時に、ベテラン勢の奮起を促す狙いもありそうだ。

 一方で、劉国梁監督が厳しい言葉を投げかけたのは王皓。リードされた場面での無気力なプレーを指摘され、「あんなプレーを続けるようでは、これから必ず悔いを残す。君が愛しているこの卓球台から、さっさと離れたほうがいい。今回のようなプレーは、これが最後にしてもらいたいね!」。また、王皓の担当コーチである呉敬平は次のようにコメントしている「これが王皓にとっては2回目のスランプだ。1回目はアテネ五輪決勝で敗れた直後だが、彼はまだ伸び盛りだったし、すぐにスランプを脱することができた。それから5年の間、彼は平均して高いレベルをキープできていた」(※出典『新浪体育』)。昨年3月の厦門での集合訓練では、期間中に軽度のうつ症状になり、特例として1週間の休暇が与えられた王皓。その技術の完成度の高さとは裏腹に、精神面では非常にもろい一面があるようだ。「直通莫斯科」第3ステージでも、奇跡の復活劇はイメージしづらい。

 許シンと張継科の代表権獲得。お気づきの方も多いことと思うが、それは国家男子チームの主力選手である「二王二馬(王皓・王励勤・馬琳・馬龍)」のうち、誰かひとりがモスクワ大会の代表メンバー(5名)から外れることを意味する。3名の代表選手を決定する「直通莫斯科」の後、残る2名は協会推薦で決定するが、劉国梁監督は「我々が国内外の大会でのプレー、そして2012年ロンドン五輪への選手育成という面も含めて決定する。ロンドン五輪のために、我々は貴重な機会を無駄にするわけにはいかない」とコメント。推薦される可能性が高いのは、やはり馬龍と王皓ということになる。
 「直通莫斯科」男子第3ステージは、4月に大連での開催が伝えられている。モスクワ大会の最終エントリーは3月23日に締め切られるが、選手の変更およびキャンセルは5月1日まで認められているため、第3ステージの時点では仮エントリーの状態だ。当落線上にいる王励勤と馬琳にとって第3ステージは、まさに背水の陣での戦いとなりそうだ。

Photo上:バックドライブに秀でた技術を持つ張継科。自力で代表権をつかみ取った(写真は10年1月のITTFプロツアー・グランドファイナル)
Photo下:08年北京五輪で、劉国梁の激励を受ける王皓