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中国リポート

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☆「直通莫斯科」女子第2ステージ
〈予選リーグ〉
●グループA

1. 常晨晨(7勝0敗)/2. 郭炎(6勝1敗)/3. 曹臻(4勝3敗)/4. 王シュアン(4勝3敗)/5. 彭陸洋(3勝4敗)/6. 范瑛(2勝5敗)/7. 文佳(2勝5敗)
●グループB
1. 劉詩ウェン(7勝0敗)/2. 丁寧(5勝2敗)/3. 姚彦(4勝3敗)/4. 饒静文(4勝3敗)/5. 武楊(3勝4敗)/6. 楊揚(1勝6敗)/7. 木子(1勝6敗)
●準決勝
丁寧 10、8、-5、-5、8、8 常晨晨
劉詩ウェン 4-3 郭炎
●決勝
劉詩ウェン -7、-7、7、-8、4、10、9 丁寧

 国家女子チームで、世界団体選手権モスクワ大会の2枚目の切符を手にしたのは、世界ランキング1位の劉詩ウェンだった。
 予選リーグでは丁寧、李暁丹とゲームオールの接戦になったものの、危なげなく1位通過を決めた劉詩ウェン。準決勝の対戦相手は強敵・郭炎。昨年5月の世界選手権横浜大会では4-0でストレート勝ちを収めているが、10月のイングランドオープン、12月のITTFトーナメント・オブ・チャンピオンズではともに決勝で敗れている相手。劉詩ウェンがゲームカウント3-2とリードした第6ゲーム、郭炎9-5のリードから劉詩ウェンが10-11と逆転してマッチポイントを握るが、11-13と郭炎がしのぎ切って、勝負は最終ゲームへ。最後は9-9から劉詩ウェンがサービスを効かせて2点連取し、ゲームオール9点で郭炎を破った。

 劉詩ウェンが決勝で相まみえたのは、同世代のライバル・丁寧。準決勝でダークホースの常晨晨とのサウスポー対決を制し、決勝へ勝ち上がってきた。波乱が続出した男子に対し、女子決勝はほぼ順当な対戦カード。劉詩ウェンのベンチには孔令輝、丁寧のベンチには郭躍・范瑛らを以前指導していた任国強が入った。孔令輝にとって会場の塘沽体育館がある天津市は、15年前の世界選手権天津大会で世界チャンピオンになった験(げん)の良い場所だ。

 最近の対戦は、常にゲームオールの接戦になる劉詩ウェンと丁寧。丁寧が2-1とリードした第4ゲーム、丁寧が10-7とゲームポイントを握ったところで、ベンチの任国強コーチがゲームを取ったと勘違いし、立ち上がる場面も。「コーチも周りが見えなくなってますね~(笑)」(テレビで解説していた楊影)。丁寧が第4ゲームを11-8で取り、3-1と優勝へ王手をかけたが、劉詩ウェンはここから反攻。第6ゲーム3-7のビハインドでも、ミスを恐れない両ハンドの連続強打で丁寧を押しまくり、12-10で奪ってゲームオールへ持ち込む。
 出場した16選手中、武楊に次いで若い18歳の劉詩ウェンだが、7歳で故郷(遼寧省撫順市)を離れ、層の薄い広東省女子チームをひとりで引っ張ってきた精神面の強さはダテではない。最終ゲームも準決勝の郭炎戦と同様、9-9から強気の攻めを貫き、ゲームオール9点で勝利。郭躍に続いて世界団体選手権モスクワ大会への切符を手にした。「丁寧のしゃがみ込みサービスにペースを崩されて、ミスが出ましたが、孔令輝コーチのアドバイスでレシーブにより変化をつけ、回り込みドライブを増やすようにした。第6ゲーム後半はそれで挽回できた」(劉詩ウェン/出典『羊城晩報』)。

 国家女子チームの施之皓監督は、試合後に「決勝戦でのふたりのプレーはすばらしかった。ふたりとも優勝させてあげたいような内容だった。劉詩ウェンには(ロンドン五輪までの)2年間でもっと成長してもらいたいし、張怡寧のようなチームのリーダーたる人物として、ロンドン五輪を迎えてほしい」(※出典『華奥星空』)とコメント。劉詩ウェンへの期待の大きさをうかがわせた。
 これまで国家チームで代表権を獲得したのは、男子が20歳の許シンと22歳の張継科、女子が21歳の郭躍と18歳の劉詩ウェン。4人の平均年齢は20.25歳。世代交替の波が、一気に国家チームへと押し寄せて来た。

Photo上:接戦の連続を制し、首脳陣の信頼を勝ち得た劉詩ウェン
Photo下:わずかな差で代表の切符を逃した丁寧(写真はともに10年1月のITTFプロツアー・グランドファイナル)