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中国リポート

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 約3カ月後の6月9日に開幕を迎える「2010中国卓球クラブ超級リーグ」。2月22日に各クラブの登録が締め切られた。先日、八一解放軍男子チームが大型スポンサーを獲得したニュースをお伝えしたが(中国リポート2010/02/24『八一解放軍男子チーム、巨大スポンサーを獲得』)、他のクラブは決して順調ではなかったようだ。

  まず女子では、昨シーズン9位で、甲Aリーグとの入れ替え戦を制して歓喜の残留を決めた重慶康徳。10年シーズンは馮天薇(シンガポール)や丁寧、昨シーズンのエースだった金キョン娥との獲得交渉に当たったが、資金不足からいずれも断念。結局超級リーグを戦えるだけの選手が集められず、入れ替え戦で勝利しながら、超級リーグへの参戦権を甲Aリーグのチームと交換している。「残留を決めてから、ずっと来シーズンへ向けた準備を進めてきたが、スポンサーの獲得も選手との交渉も進まなかった。甲Aリーグで戦うのはやむを得ない選択」(重慶康徳・胡蓉蓉総経理)。
 超級リーグの参戦権がクラブ間でやりとりされるというのは、ちょっと信じがたいが、超級リーグでは決して珍しいことではない。毎シーズン、参戦権を取得して超級リーグに参戦してくる“泡沫(ほうまつ)”クラブが存在し、お決まりのように下位に沈んでいく。クラブが10チーム揃わずに9チームでのシーズンになることもあり、8チームへ削減することが毎年のように議論されている。ちなみに今シーズン甲Aリーグを戦う重慶康徳のメンバーは、右ペン粒高攻守型の陳晴をエースに、麦楽楽(05年全中国ベスト8)、楊飛飛、そして今シーズンはブンデスリーガでプレーしていたベテラン桑亜嬋(香港)。甲Aリーグとしてはかなりの豪華メンバーだが、超級リーグでは力不足は否めない。

 そして今、緊急事態を迎えているのが、張怡寧と丁寧を擁して昨シーズン優勝を果たした北京女子チームだ。北京時博体育賽事有限公司とのスポンサー契約が終了し、スポンサー獲得に苦戦。携帯電話では中国最大のシェアを誇る中国移動通信集団公司とようやく契約にこぎ着け、「中国移動北京女子卓球クラブ」として超級リーグに登録しようとしたのだが、中国卓球協会は登録を拒否。中国移動通信のライバル会社である中国聯通が、中国卓球協会および超級リーグのオフィシャルスポンサーになっているためだ。「そのようなスポンサーに関する規制は、これまで協会側から一切通知されていなかった。今さらどうやって新しいスポンサーを見つけろと言うのか?」(北京市卓球チーム・張雷総監督)。
 北京女子チームには、スポンサーが未確定でも仮登録できる救済措置が与えられたが、今のところ新規スポンサー獲得の報道はない。今シーズン、張怡寧が超級リーグに参戦する可能性は低く、さらに丁寧と郭炎のどちらかを超級リーグのドラフトにかけねばならない北京女子チーム。泣きっ面に蜂の状態になっている。

 張怡寧という金看板を擁する北京女子チームでさえ、04年北京海菲泰、05年北京御意、06-07年北京首創、08-09年北京時博国際と冠スポンサーは毎年のように替わっている。「1シーズンか2シーズン、社名を宣伝できれば十分」というスポンサーが多いのも事実だが、超級リーグがそれだけのステータスを確立できていないとも言える。コロコロ変わるチーム名、コロコロ変わる開催地。八百長問題で大揺れに揺れている中国サッカークラブ超級リーグも悲惨な状況だが、卓球の超級リーグも卓球の人気低迷に歯止めをかけることはできていないようだ。

Photo:張怡寧不在の北京市女子チームで、若きエースとしての活躍が期待される丁寧。果たして無事に新シーズンが迎えられるのか