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中国リポート

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 3月18日、『2010年中国卓球クラブ超級リーグ・摘牌(ジャイパイ)大会』が北京で行われた。
 トップ選手の所属クラブを決める会議である、この「摘牌大会」。世界チャンピオンクラスの「特級甲等」選手と、世界選手権代表クラスの「一級」選手が入札選手リストに公開され、選手の獲得を希望するクラブが次々に金額を提示。最終的に提示した金額が最も高いクラブが選手を落札する。いわば選手の“公開オークション”だ。各クラブの選手の保有権は2年間で、前回の摘牌大会も2年前の2008年5月11~12日に行われているが、今シーズンが終わった時点で選手を放出することもできる(中国リポート2008/05/10「世界王者、落札希望額は2000万円から!」参照)。今回の入札選手リストに公開されたのは以下の選手たちだ。

★男子「特級甲等」 ※( )内は所属先
馬龍(北京市体育局)
馬琳(広東省体育局)
許シン(上海市体育局)
★男子「一級」
ハオ帥(天津市体育局)
ジャン(瞻の右側)健(個人)
張超(広東省体育局)

☆女子「特級甲等」
郭炎(北京市体育局)
☆女子「一級」
范瑛(江蘇省体育局)
姚彦(上海市体育局)

 移籍選手リストに公開される選手には2つのパターンがある。ひとつは、母体となる省や市のチームが超級リーグに参戦していないパターン。馬龍や張超の広東省、ハオ帥の天津市などはここ数年超級リーグに昇格しておらず、所属するチームは毎回この摘牌大会で決められる。王皓は人民解放軍チーム、王励勤は上海市チーム、張継科は山東省と超級リーグでも母体のチームに所属しているため、摘牌大会の対象にはならない。筆者もまだまだ勉強不足だが、このような事例に当たると「中国卓球クラブ超級リーグ」の“クラブ”という言葉が、欧米のクラブスポーツのそれとは全く違うものであることがよくわかる。基本的には、各省の代表チームにスポンサーがついただけのものだ。
 公開される選手のもうひとつのパターンは、特級甲等選手をひとつのクラブが複数人抱えている場合だ。超級リーグの規定により、特級甲等選手が2名所属しているクラブは、そのうち1名を放出しなければならない。男子の許シンは王励勤と同じ上海市チームの所属、上海市チームのコーチ陣が王励勤の残留を決定したため、放出されてしまったのだ。また、女子の郭炎は同じ北京市チームに張怡寧、丁寧と合わせて3名の「特級甲等」選手がいたが、3名の場合でも放出されるのは1名のみ。08年の摘牌大会に続き、郭炎が放出されることになった。

 毎回のように制度が変わる超級リーグの摘牌大会。前回は選手が移籍を希望するクラブを3つ指名し、その3つの中で最も高い金額を提示したクラブが選手を獲得する方式だったが、今回は07年以前の方式に戻されている。選手とクラブ間の事前の密約によって、摘牌大会が出来(でき)レースになることを防ぐのが目的だ。実際に前回の摘牌大会では馬琳や馬龍といった大物選手が、最低落札額(当時は140万元)にわずかに上乗せした程度の金額で落札。事前の申し合わせがあったことをうかがわせる結果となった。同じように摘牌制を開催していた中国サッカー超級リーグでは、選手が自由にクラブを移籍できないことなどから、今年から摘牌制は廃止。摘牌制のあり方については、疑問の声も少なくないようだ。

 その2に続きます。久しぶりのアップなのに申し訳ありません…。

Photo:08年の摘牌大会の最高落札額は意外にもこの人。一級選手ながら423万元(約6,300万円)で落札されたハオ帥