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☆「直通莫斯科」女子第3ステージ
〈4.2~3/山東省・中国石油大学体育館〉
●準々決勝

曹臻 5、7、5、-10、-4、4 丁寧
王シュアン 8、8、10、9 李暁霞
郭炎 4-1 饒静文
常晨晨 4-3 姚彦
●準決勝
郭炎 11、6、-7、7、5 曹臻
常晨晨 8、4、6、-5、7 王シュアン(王+旋)
●決勝
郭炎 4、7、9、8 常晨晨

 女子「直通莫斯科」の第3ステージは、山東省東営市にある中国石油大学体育館で開催。中国第2位の規模を誇る巨大油田「勝利油田」を擁する東営市で、燃え上がる闘魂で勝利を掴んだのは、世界ランキング3位の郭炎だった。張怡寧の欠場、さらに郭躍と劉詩ウェンが代表権を手にしたことで、やや役者不足の感もあった第3ステージだが、きっちり勝ち抜くあたりはさすがだ。

 男子同様、この女子「直通莫斯科」でも波乱が起きたのは初戦だった。世界ランキング5位の丁寧、そして急性虫垂炎(盲腸)の手術から復帰した李暁霞が姿を消した。第2ステージ決勝で劉詩ウェンからゲームカウント3-1とリードを奪い、代表権獲得まであと一歩だった丁寧は、曹臻得意のバック表ソフトの連続強打に苦戦。ゲームカウント0-3から2-3まで挽回したが、第6ゲームは7-0と大量リードを許して敗れた。決して相性の悪い相手ではないが、勝利を焦る気持ちがプレーに出てしまったのか。一方、第1ステージ以来の出場となった李暁霞は、右シェークフォア裏・バック表異質攻守型の王シュアンに完敗。第3ゲーム、10-7のゲームポイントから王シュアンに5点連取され、落としたことが大きく響いた。トーナメントの上半分に丁寧と郭炎が固まり、「李暁霞、絶好の組み合わせ」と報道したマスコミすらいたが、王シュアンが「陪練(トレーナー)」選手の意地を見せた形だ。
 王皓を破った男子「直通莫斯科」の李平同様、波乱の立て役者となった王シュアン。コカコーラが大好きな黒龍江省ハルピン市出身の21歳。福原愛選手(ANA)の仮想(コピー)選手として有名だが、彼女のアイドルはトウ亜萍だそうだ。小柄だがフォアのパンチ力はかなりのもので、前陣でたたみかける両ハンド連打は迫力にあふれている。

 そして、女子「直通莫斯科」の最後の切符を獲得した郭炎。北京五輪代表の座を逃し、09年世界選手権横浜大会では後輩の劉詩ウェンに完敗してベスト16止まり。09年2月に行われた「2009年全国卓球工作会議」では、6人の重点強化選手(張怡寧・郭躍・李暁霞・劉詩ウェン・丁寧・姚彦)からも外れたことが報道された(中国リポート2009/03/11『国家女子隊、郭炎が重点選手から外れる』参照)。筆者も「残念ながら、遠からず国家チームを引退することになりそうだ」と書いてしまったが、張怡寧が長期休暇に入り、エース不在の「無核時代」と言われる国家女子チームで、再び存在感を示しつつある。第3ステージ決勝では、パワードライブだけでなく、巧みに緩急をつけるプレーで常晨晨のミスを誘って完勝。すでに27歳という年齢だが、もうひと花咲かせるか。
 国家女子チームは5月10日まで、河北省正定市の国家卓球訓練基地で34日間の集合訓練に入っている。残る2人の代表メンバーは、李暁霞・丁寧・范瑛(or武楊)から2名が選ばれる公算。対シンガポールを考えるとカット主戦型も一枚入れておきたい感じだが、李暁霞と丁寧の選出はほぼ確実な情勢だ。

Photo上:郭炎、27歳の春に咲く
Photo下:フォアのミート打ちはかなりの威力、王シュアン