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中国リポート

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 現在、世界の女子卓球界では、パワフルなフォアドライブを得意とするふたりの「馮」さんが活躍している。ひとりは世界ランキングを2位まで上げている馮天薇(シンガポール)、もうひとりは3月のドイツオープンで予選リーグから勝ち上がり、優勝を飾った馮亜蘭だ。

 1986年8月31日生まれ、現在23歳の馮天薇は、2010年4月発表の世界ランキングで4位から2位にランクアップ。リ・ジャウェイの3位(2005年10月)を上回り、シンガポールの卓球選手の史上最高位を記録した。中国選手以外で世界ランキングを2位まで上げたのも、02年7月発表のランキングで2位になったボロス(クロアチア)以来だ。彼女をシンガポールへ連れて来た劉国棟(元シンガポール女子チーム監督)は、シンガポール卓球協会との確執によってインドネシアへ去ったが、後任監督として周樹森(元北京市女子チーム監督)が就任。ジン・ジュンホン女子チームコーチとともに、2012年ロンドン五輪を目指す強化体制が整ってきている。

 そして、1990年1月25日生まれの馮亜蘭は、言わずとしれた2006年世界ジュニア選手権の女子チャンピオン。3月のドイツオープンでは、すでに世界選手権団体戦モスクワ大会の代表に決まっていた劉詩ウェンや郭躍、急性虫垂炎の手術を受けた李暁霞が欠場する中で代表に抜擢され、そのチャンスを見事に活かした。なんとプロツアーは初出場・初優勝。中国の女子選手でも、プロツアーでのデビュー戦を優勝で飾ったのは張怡寧、曹臻ほか4人しかない。このドイツオープンでの優勝により、世界ランキングでも一気に13位にランクインした。
 馮亜蘭の出身は湖北省の省都・武漢市。88年ソウル五輪金メダリストの陳静や、89年世界選手権女子チャンピオンの喬紅の出身地であることは、これまでにもたびたび述べているが、男子選手では先日結婚した劉国正の出身地でもある。このふたりのプレーは実によく似ており、かつて国家女子2軍チームの閻森コーチも馮亜蘭を「女子選手の男性化の代表とも言える選手。彼女のプレーを見ていると、劉国正のリプレイを見ているかのようだ」と評している。レシーブ、3球目攻撃のあとにスーッと中陣に下がり、連続フォアドライブでガンガン攻める。全中国運動会で范瑛のカットを完璧に打ち砕いたパワードライブとフットワークは素晴らしかったが、前陣での厳しい攻めと守備力を身につければ、面白い存在になる。

 ちなみに馮天薇と馮亜蘭、中国語での読みは「フォン・ティエンウェイ(Feng Tianwei/馮天薇)」と「フォン・ヤァラン(Feng Yalan/馮亜蘭)」だが、日本語ではどういう読みになるのか。筆者は不勉強にも「ひょうてんび」「ひょうあらん」と呼んでいたが、正しくは「ふうてんび」「ふうあらん」。中国語の「馮」には「ping」と「feng」のふたつの発音があり、「ping」に対応する日本語読みが「ひょう」、そして姓の「feng」に対応する日本語読みは「ふう」になるそうだ…。

Photo上:日本リーグのサンリツでもプレーしていた馮天薇
Photo下:郭躍、丁寧に続いて「おてんば娘」「ボーイッシュな女の子」を意味する「假小子」という冠名がついた馮亜蘭。中国女子はルックスも男性化?