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中国リポート

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 5月9日、世界選手権団体戦モスクワ大会への4枚目の代表切符を懸け、北京五輪男子代表の馬琳・王皓・王励勤による運命の戦いが行われた。2連勝で代表権を獲得したのは王皓。現世界チャンピオン、代表権獲得へのあまりに長い道のりだった。試合のスコアの詳細は以下のとおり。

★世界選手権団体戦モスクワ大会・男子第4代表決定戦
〈5.9/浙江省寧波市・寧波北侖海天体育館〉

●第1戦
王励勤 -6、-8、9、6、7 馬琳
●第2戦
王皓 -9、8、-8、8、10 馬琳 ※馬琳は脱落
●第3戦(第4代表決定戦)
王皓 -6、7、5、8 王励勤
★王皓が中国男子チーム4人目の代表に決定!

 第2戦に登場し、初戦で敗れた馬琳と相まみえた王皓。いずれのゲームもスコアが離れないシーソーゲームとなり、試合は最終の第5ゲームへ。王皓5-2のリードでチェンジエンドするが、馬琳が7-7に追いつく。王皓が10-7と突き放してマッチポイント、馬琳が粘って3回のマッチポイントをしのぎ、10-10のデュースへ。代表決定戦にふさわしい白熱の展開となったが、最後は王皓がフォアハンドで強気に攻め、ゲームオールデュースの接戦を制した。
 そして第4代表決定戦となった第3戦は、09年世界選手権横浜大会決勝の再現、王皓と王励勤の対戦。強気で攻める王皓に対し、リードしながらもやや守勢に回る場面が多くなった王励勤。勝負のポイントとなった第3ゲーム、王励勤5-2のリードから王皓が一気の9点連取でこのゲームを奪取。第4ゲームも競り合いの中で王皓が抜け出し、10-8で王励勤の返球がネット。王皓、ついに自らの手で代表権をつかみ取った。「自分にはまだ潜在能力があると信じている。今日のプレーを忘れずに、これからさらに調子を上げていきたい」(王皓)。

 一方、またも失意の代表決定戦となったのが馬琳。第1戦はゲームカウント2-0からの逆転負け、第2戦はゲームオールデュースでの敗戦。07年ザグレブ大会決勝の大逆転負けを例に挙げるまでもなく、馬琳には「魔のシナリオ」と表現したくなるような、残酷な展開がつきまとう。自らのメンタルの不安定さが招く結果と言えばそれまでだが、あまりにもドラマチックな選手だ。

 ついに残り1枚となった、中国男子チームのモスクワ大会への代表切符。国家男子チームの首脳陣は当初、最後の1枚の切符は推薦によって決定すると発表していたが、その予定が変更。明日5月12日、浙江省桐郷市で王励勤と馬琳による最後の代表決定戦が行われることが急きょ決定した。もちろん試合は一発勝負、3ゲーム先取の5ゲームズマッチ。「もし推薦で選手を選べば、落とされた選手は余計なことを考えてしまうが、試合で代表権を決めればどちらの選手もスッキリするはずだ。王励勤と馬琳は永年のライバル、今回の代表決定戦でも、彼らには自らの手で運命を決めるチャンスを与えた。彼らにとって最も公平な方式だろう」(劉国梁監督/出典『信息時報』)。
 世界選手権決勝にまさるとも劣らぬ、龍虎の一大対決。常に戦略的に選手を選んできた中国が、代表選手を推薦ではなく、すべて試合方式で決めるのは今大会が初めて。「とても推薦では決め切れない」というのが本音かもしれないし、中国男子を長く支えてきたふたりのプライドを尊重し、最大限の敬意を表したともとれる。これは見逃せない対決になった。

Photo:苦しみながらも代表権を獲得した王皓(写真は09年世界選手権横浜大会)