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中国リポート

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 5月11日、国家男子チームは集合訓練の最終日を迎えた。17時30分に最後の練習メニューが終了し、選手たちが最終日の晩餐会に向かった後も、王励勤と馬琳は体育館で練習を続けた。『体壇周報』によると、馬琳の担当コーチである呉敬平は血圧が安定せず、王励勤の担当コーチである秦志ジェン(01年世界混合複優勝)は胃を傷めているという。今日5月12日、16時30分(日本時間17時30分)から行われる王励勤と馬琳の代表決定戦を、心安らかに観戦できる人は、国家男子チームには誰もいないだろう。

 国家男子チームの劉国梁監督は、同じく『体壇周報』に次のようなコメントを残している。
「もう14年になるよ。96年に同時に国家チームに入り、97年に世界選手権に出場して以来、この2010年まで、ふたりは常にライバルだった。どちらが上ということも、どちらが下ということもなく、まるで兄弟のように密接にかかわり合ってきた。技術的にも性格的にもふたりは対照的で、まるでお互いを映す鏡のようだった。
 そしてついに代表決定戦だ。もし誰か他の選手との対戦だったら、彼らの心理もこれほどに複雑に揺れ動くことはなかったはずだよ。もし決定戦で若手に敗れたとしても、精神的にはまだ受け入れられるんだろうけど…」。
 2008年以降の、王励勤と馬琳の主な対戦成績を以下にまとめてみた。

◆2008年
[2月 カタールオープン]  ○馬琳 9、5、5、9 王励勤
[5月 VWオープン荻村杯] ○馬琳 4、-5、9、7、8 王励勤
[8月 北京五輪・卓球競技] ○馬琳 5、9、9、-10、-3、8 王励勤
[10月 超級第6節]    ○王励勤 9、-9、11、6 馬琳
[12月 超級決勝第2戦]  ○王励勤 8、9、8 馬琳
◆2009年
[2月 カタールオープン]  ○馬琳 9、6、2、8 王励勤
[3月 直通横浜第2ステージ] ○馬琳 3-1 王励勤
[5月 世界選手権横浜大会] ○王励勤 5、-12、9、-7、9、-6、6 馬琳
[6月 中国オープン]    ○王励勤 -7、7、-11、10、-10、6、7 馬琳
[7月 超級第9節]     ○馬琳 9、7、7 王励勤
◆2010年
[5月 世界団体戦第4代表決定戦] ○王励勤 -6、-8、9、6、7 馬琳

 5ゲームズマッチと7ゲームズマッチの試合が混在しているが、ふたりはまさに実力伯仲(はくちゅう)。加えて05・07年世界選手権決勝の例を挙げるまでもなく、重要な試合では必ずと言っていいほど接戦となり、激しい火花を散らしてきた。中国男子の歴史の中でも、これほど長期のライバル関係を築いた例は稀有だ。
 「監督として、最も心配なのは決定戦で敗れた選手のことだよ。一番考えたくないケースは、敗れた選手が落ち込み、完全に自暴自棄になってしまうこと。それは男子チームにとってあまりに大きな損失になる。僕はふたりに2012年までプレーを続けてほしいし、ふたり揃って円満のうちに引退してほしいんだ。ひとりだけ残ることになったら、去っていく選手が不憫(ふびん)じゃないか…」(劉国梁)。王励勤・馬琳とは世界選手権の団体メンバーとして戦い、00年クアラルンプール大会決勝で敗れた辛酸も、01年大阪大会準決勝・韓国戦で大逆転勝ちした歓喜も、ともに味わってきた劉国梁。そのコメントは監督から選手に向けられたものではなく、かつての戦友たちへ向けられたもの、という感じがする。

 中国でも一度世界選手権の代表から外れながら、再び代表へ返り咲いたケースはあるが、今回の代表決定戦で敗れた選手が、引退への歩みを速めることは想像に難くない。王励勤と馬琳、これが最後の真剣勝負になるのか。対決の時は目前に迫っている。

Photo:王励勤(上)と馬琳(下)、いざ代表決定戦へ。ややスロースターターの王励勤、5ゲームズマッチであることがどう影響するか