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中国リポート

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 世界選手権団体戦が行われているモスクワで速報担当に変身中の中国リポート担当。パスポートには「中国辺防検査」のスタンプばかり押されていたが、ついにロシアのビザが貼られることになった。来月は再びヨーロッパ・ポルトガルを訪れる予定。中国ばかり入国していた男が、直近のロシア滞在を経てヨーロッパ入り。何となく入国審査で怪しまれそうなパスポートができあがっています。

 中国リポート、またしてもご無沙汰していますので、モスクワで体験した中国関係の「小ネタ」を少々。 今大会初日のイタリア戦に、スコート姿で登場した中国女子チーム。昨年12月の東アジア競技大会で、中国代表としては初めてスコートを着用したが、世界選手権で着用するのはこれが初めて。プレーは男性化、ウェアは女性化。異なる指向が交錯すると、様々な違和感が生じるのは致し方ないところ。今大会の中国女子チームの5人の代表メンバーは、劉詩ウェン、丁寧、郭躍、郭炎、李暁霞。スコート着用の是非は、皆さんの想像にお任せします。
 ところで、イタリア戦ではスコートを着用しながら、2日目は普通のライトブルーの短パンに戻していた中国女子チーム。知り合いの上海の新聞記者の女の子も、「どうして今日は短パンなの?」と疑問を抱いた様子。ミックスゾーンで中国人記者の質問に答えていた丁寧曰く「動きにくいから」とのこと。郭炎や丁寧、郭躍などは以前のインタビューに対しても、「スコートより短パンのほうが好き」と答えていた。どうやらスコートは、あまり選手たちの支持を集めてはいないようだ。
 …速報担当、その当りの認識が甘かった。郭躍に「スコートに対する感想は?」と質問してみたところ、「ハッ!」と思い切り鼻で笑われた後、ひと呼吸おいてから「比較漂亮(まあまあキレイね)」とひと言。元世界女王、「スコートに対する質問にはもう飽き飽き、また日本のマスコミがどうでもいいことを…」という感がアリアリ。その後、周囲に促(うなが)されて足早に去っていかれました。俗っぽい質問で失礼致しました。

 もうひとつ、速報担当の目に留まった選手がいる。スペイン男子チームの世界ランキング283位、カンテロ選手。日本戦ではトップで松平健太を破り、ラストでも吉田海偉を大いに苦しめた。この人のプレーは、すでに絶滅したはずの(失礼)中国式ペン表速攻そのもの。裏面にも裏ソフトを貼り、時折ビックリするような強打を放つが、基本はオモテ面のショートとプッシュのみ。劉国梁スタイルの右足を踏み込むサービスから、目の覚めるような連続スマッシュを放つ。ぽっちゃり型の体型で、決して強そうには見えないのだが、強い。はっきりいって強い。スペインのペン表と言えば、大ベテランの何志文を思い出すが、やはり彼の弟子なのだろうか?

 後日判明したところによると、カンテロは何志文の教え子ではなかった。中国人コーチに教わっていたが、そのコーチは決して有名なコーチではなく、またペン表ソフトというスタイルは小さい頃に自分で選んで始めたのだという。スペインで卓球を始めるだけでも変わり者だが、ペン表ソフトで始めてしまったのだから、飛び切りの変わり者だ。御年27歳というが、見た目には37歳くらいには見える。
 …失礼なことばかり書いてしまったが、本当に見ていて痛快な選手だ。サービスを見て分かるとおり、劉国梁が憧れの選手なのだそうだ。スペインで劉国梁に憧れていた少年が、ロシアで迎えた世界選手権団体戦のドイツ戦で、ヨーロッパの皇帝ボルをゲームオール8点まで追いつめている。これだから卓球は面白い。

Photo上:郭躍、やっぱり短パンが良い?
Photo中:スコート着用に大しては積極派の劉詩ウェン
Photo下:弊誌編集長が「中村カンテロ(勘太郎)」というあだ名をつけたカンテロくん