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中国リポート

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 世界選手権団体戦モスクワ大会の代表選考会「直通莫斯科(直通モスクワ)」。その第1次選考会の決勝で劉詩ウェンを破り、代表一番乗りを果たした郭躍。輝かしい実績を持つ元世界女王は、なぜかモスクワ大会で予選リーグ1試合の出場に留まった。郭躍の地元・遼寧省の『遼寧日報』をはじめ、この選手起用に疑問を呈する報道は少なくない。

★揚子晩報(5月30日)「なぜ郭躍を見捨てたのか?」
・丁寧を重用した施之皓の選手起用は不可解だ。準決勝の日本戦トップで福原に辛勝した丁寧が、シンガポール戦でも起用されるとは思わなかった。一方で、五輪2大会出場、世界選手権の3種目で優勝している郭躍は1試合のみの出場。コーチ陣は「郭躍は左肩を故障している」と言うが、本人は問題ないと言っていたし、出場したいという意思を表明していた。
 決勝のベンチで、チームメイトが次々と敗れていくたび、郭躍は私たちと同じように「むしゃくしゃする」と思っていただろう!

★遼寧日報(6月1日)「なぜ郭躍を起用しなかったのか」
・経験と実績からいっても、郭躍こそ決勝に出るべき選手だった。施之皓監督自身も、かつて「世界選手権団体戦では、技術や戦術だけでなく、あの雰囲気に慣れていること、そして経験が重要」と言っていたはずだ。世界選手権の決勝を唯一経験している郭躍が、なぜ決勝で起用されなかったのか。

 張怡寧不在のモスクワ大会で、主力としての起用が予想されていた郭躍。予選リーグで起用されたポーランド戦も、格下のパストルが相手とはいえ「11-4、11-2、11-5」と文句のない内容で、抱えていた左肩の故障の影響もそれほど感じられなかった。不可解と言えなくもない選手起用に、郭躍と施之皓の不仲説を取り上げるマスコミまで現れた。
 6月2~3日、CCTV(中国中央電視台)ではモスクワ大会の特集『成長』が放送され、6月3日の放送で女子チームの施之皓監督、劉詩ウェン、丁寧、郭炎、郭躍が出演した。この放送で郭躍は「大会前の集合訓練では確かに故障で10日ほど練習を休んだけど、大会では精神的な準備はしっかりやっていた。過去2大会の決勝で負けていても、今回は試合に出場できれば、必ず良いプレーをする自信はありました。メンタルが崩れることもなかったはず」と発言。一方、施之皓監督は「郭躍を出していたら勝っていたと思いますか?」と質問され、以下のように答えている。

「あくまでも仮定の話だが、もし郭躍が集合訓練で他のメンバーとともに無事にプログラムを終え、一定のレベルに達していたならば、2番手では起用していただろう。郭躍の才能については、私も含めて誰もが認めるところだ。しかし、ただ才能にのみ頼っていたのでは不十分。郭躍には胸に刻んでおくべき沢山の教訓があるし、今回のモスクワ大会を通じて多くのことを自覚し、目覚めてくれるように願っている」(施之皓)。

 集合訓練に入って3日目にふくらはぎを傷め、左肩だけでなく多くの部分に故障を抱えていたという郭躍。しかし、故障が起用されなかった最大の原因だったのだろうか。施之皓監督は『海峡都市報』の取材に対し、「モスクワでも郭躍に『故障の状態はどうか』と尋ねた。試合に出たいという積極的な姿勢を期待していたが、その自信すらないようだった」とも述べている。張怡寧が長期休暇に入った後、郭躍がいるにも関わらず「劉詩ウェンが未来の女子チームのリーダー候補」と発言していた施之皓監督。郭躍は少なくとも今回のモスクワ大会では、将来を見据えた中国女子チームの戦力構想から外れていたようだ。

 (その3に続きます…)

Photo上:モスクワ大会の女子決勝後、中国の報道陣に囲まれる施之皓監督
Photo中:わずか1試合の出場に留まった元世界女王・郭躍
Photo下:劉詩ウェンにアドバイスする施之皓監督。その後ろで鋭い視線を送るのは…?