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中国リポート

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 2010年のプロツアーシーズンもいよいよ終盤。4月のチリオープン、6月の中国オープンが中止になったものの、11月10~14日に行われるITTFプロツアー・ポーランドオープンで、プロツアー13大会の全日程が終了する。
 そして、ここに来てプロツアースタンディング(獲得ポイントのランキング)に異変が生じている。中国選手がひとりもプロツアーグランドファイナルへの出場権を獲得できないまま、シーズンを終えようとしているのだ。左の男女シングルスのプロツアースタンディングを見ながら、以下の文章を読み進めていただきたい(クリックで拡大)。

 プロツアーグランドファイナルの出場資格は、シングルスは6大会出場もしくは3大陸での大会出場、ダブルスは4大会出場となっている。まず男子シングルスのスタンディングでは、1位の張継科を筆頭に2位の許シン、4位の王励勤、5位の馬龍、6位の馬琳、10位の王皓と上位全員が出場資格を満たせず。大会への出場回数は多い選手でも4大会なので、残り1大会では資格に届かない。また、2大陸の大会に出場している選手はいずれもアジアとヨーロッパの大会に出場しているので、ヨーロッパのポーランドオープンに出場しても3大陸出場とはならない。
 女子シングルスも同様に、スタンディングでトップ3を占める劉詩ウェン、郭躍、李暁霞をはじめ、丁寧、馮亜蘭、郭炎、武楊といずれも出場資格には遠い。グランドファイナルでは99年大会優勝の陳静(チャイニーズタイペイ)以外、すべて中国代表の選手が優勝。2000年大会から続く中国女子の10連覇も、08年大会から続く郭炎の2連覇も、今大会で途切れることになる。グランドファイナルが中国で開催されれば、ワイルドカードで地元選手の出場枠がひとつ与えられるが、今回は韓国・ソウルでの開催なので、その可能性もない。またダブルスでも、男女とも出場資格を獲得できるペアはいない。

 もっとも、中国もすでに全選手にグランドファイナル出場の資格がないことは折り込み済み。ポーランドオープンには林高遠、宋鴻遠ほか若手男子の6選手しかエントリーしていない。国家体育総局卓球・バドミントン管理センターの劉風岩主任は、以下のようにコメントしている。「現在の中国の大会出場の原則は『以我為主(自国の状況を主とする)』。現在の卓球界は、大会スケジュールがやや過密になっている。我々の最終目標は五輪での金メダル獲得であり、そのための大会出場と成績の向上には全力を尽くすが、すべての金メダルを争う必要はないということだ」。

 超級リーグと集合訓練をベースに、格付けの高いプロツアー数試合にだけ出場し、じっくりと五輪や世界選手権に向けた強化を進めていこうとしている中国。過去にも05年のグランドファイナルのシングルスで、馬龍と張怡寧しか出場しなかったケースがあるが、出場選手がゼロというのは異例。プロツアーという大会のステータスを揺るがす事態と言えそうだ。

※左は11月5日現在のITTFプロツアー・スタンディング。上が男子、下が女子のスタンディング
Photo:グランドファイナルでは、男子の馬龍とともに2連覇中だった郭炎