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中国リポート

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 長く中国のマスコミを賑わせていた「張怡寧の引退問題」に、一定の回答が出たということか。「引退するかどうかは現時点では言えない」「(今後の去就については)年内には必ず表明する」とこれまで明言を避けてきた女王・張怡寧から、実質的な引退宣言ともとれるコメントが飛び出した。

 現在、中国の元五輪金メダリスト、元世界チャンピオンが多く在籍する、北京体育大学の冠軍班(チャンピオン・コース)に入学し、体育教育専攻の研究生(大学院生)として学んでいる張怡寧。
 ちなみに冠軍班とは、スポーツ界のトップ選手により高度な教育の場を提供することを目的として、2005年に創設されたもの。引退した選手もいれば、現役バリバリのトップ選手もいる。2010年度には39名が入学し、卓球界からは王涛と王皓、その他にも08年北京五輪体操・個人総合金メダリストの楊威らが名を連ねた。もっとも、最初に行われた講義に出席したのは39名中、たったの3名だったとのこと。研究生(大学院生)とはいっても、現役選手は訓練、引退した選手はビジネスに余念がないようだ。

 …前置きが長くなったが、今年からこの北京体育大学・冠軍班では、半年から1年間のアメリカ留学を実施している。今年7月にその第一陣として19名がアメリカに渡り、その中には新婚ホヤホヤの劉国正の姿もあった。そして11月4日、アメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校と北京体育大学、国家留学基金管理委員会の三者による正式な交流協定締結の式典に、張怡寧も出席したのだ。「引退か、現役続行か」について質問された張怡寧のコメントは以下のとおりだ。

「私は今の大学の生活が気に入っています。引退に際して、必ずしも正式な発表が必要だとは思わないし、これまで引退試合やセレモニーをやりたいと考えたこともない。注目を浴びるようなことはしたくないし、このままゆっくりと皆さんの視界から消えていければいいと思っています」

 「引退します」と明言しているわけではないが、それ以上に現役復帰の意思がないことを、強く感じさせるコメントになっている。今年に入ってからは体力トレーニングを続けながらも、ほとんどボールを打ってはいなかったという張怡寧。まだ結婚生活も2年目に入ったばかりだが、アメリカへの留学も視野に入れているそうだ。
 芸術的な前陣攻守を展開し、卓球界に一時代を築いた女王。ポーカーフェイスな試合運びと同様、淡々と卓球界から姿を消していくのか。派手な引退発表やセレモニーはいらないという態度は、サッパリしていて潔いが、このまま「再見(サヨナラ)」では少し寂しい気もする。

Photo:08年北京五輪(上)と04年アテネ五輪(下)での張怡寧