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中国リポート

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 アジア競技大会・卓球競技で、銀1枚・銅4枚のメダルを獲得した韓国。成績の面では銀1枚・銅3枚の前回大会を上回ったが、多くの課題を残す大会となった。唯一の銀メダルを獲得した男子団体では、決勝で呉尚垠・朱世赫・李廷佑の3選手が1ゲームも奪えず、中国にストレート負け。男子シングルスの朱世赫、女子シングルスの金キョン娥も順当に準決勝まで勝ち進んだが、朱世赫は馬龍、金キョン娥は李暁霞に完敗。お家芸のダブルスも、男子の若手である鄭栄植/金ミン鉐が獲得した銅メダル1枚に留まった。混合ダブルス1回戦で、朱世赫/金キョン娥が松平/石川(日本)に完敗した一戦も、大きな衝撃を与えたようだ。

 過去のアジア競技大会の歴史を振り返ってみると、90年北京大会の男子団体で、準決勝で中国を一蹴し、決勝で北朝鮮との壮絶な激闘を制した韓国男子チーム。同大会の女子ダブルス決勝でトウ亜萍/喬紅(中国)に完勝した玄静和/洪次玉。98年バンコク大会では男子シングルスで金擇洙が悲願のビッグタイトルを獲得し、02年釜山大会では、李哲承/柳承敏と李恩実/石恩美が男女ダブルスで優勝して、“ダブルス王国”韓国の意地を見せた。アジア競技大会では中国のライバルとして、確固たる存在感を示してきただけに、合格点にはほど遠い成績だろう。

 大会後、韓国男子チームの金擇洙監督は「犠牲を払ってでも世代交代に重きを置かねばならない。現行のメンバーでは、中国には勝てないということを改めて確認した」とコメント。女子チームの玄静和監督も「特に女子ダブルスの結果には悔いが残る。長期的に若い選手を育成・発掘していかなければならない」と述べ、ともに世代交代の必要性を認めている。長く韓国男子チームの屋台骨を支えてきた呉尚垠も「私と柳承敏、朱世赫では、中国を超えるのには技術的な限界がある。若手の鄭栄植や金ミン鉐、徐賢徳を起用するほうがよい」と述べたほどだ。

 今大会で韓国にとって一筋の光明となったのは、男子ダブルス準決勝で王皓/張継科にゲームオールまで迫った鄭栄植/金ミン鉐。特に鄭栄植は長身と爽やかなルックスで、卓球ファンから支持を集めている。徐賢徳、李尚洙、丁祥恩と若手男子は人材も豊富なのだが、2012年ロンドン五輪を前にした世代交代はなかなか難しい。女子チームは、女子ダブルスに出場した梁夏銀が未来のエース候補。中国と同様シェーク攻撃型の選手が多く、伝統の日本式ペンドライブ型やカット主戦型が少ないのは少々寂しいが、フィジカルの強さを活かしたパワー卓球で、これからも中国の壁に挑み続ける。

Photo上:金擇洙監督、世代交代という難題に挑む
Photo下:王皓/張継科をあと一歩まで追いつめた鄭栄植/金ミン鉐