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中国リポート

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 前回もお伝えしたように、12月14日から北京市の北の郊外にある昌平区で、1週間の軍事訓練に入った国家男女チーム。
 2003年から毎冬恒例となっている軍事訓練だが、昌平区での実施は2004年の年末以来。その当時は1軍チームの選手だけだったが、今回は1・2軍チームの選手すべてに参加が義務づけられた。訓練がスタートした初日は、北京市で今年一番の冷え込みとなり、最低気温は氷点下11℃、最高気温でも氷点下3℃。選手たちは9人ずつ班に分けられ、宿舎も個室などもってのほか。メンバー全員がひとつの宿舎で生活しなければならない。

「ここに来たら、オリンピックの金メダリストも世界選手権のチャンピオンも同じひとりの兵士だ。規律を守り、厳しい訓練に耐えなければならない。この軍事訓練はいわば、ロンドン五輪での目標を達成するためのひとつの“給油所”。ロンドン五輪までのラストスパートに備え、今回の訓練を通じて思想面の基礎を養ってほしい」(国家体育総局卓球/バドミントン管理センター・劉風岩主任)。アジア競技大会を終え、中国はロンドン五輪に向けて、もう一度選手たちの引き締めにかかっている。選手たちは誰ひとりとして給油所とは思っていないだろうが…。

  もっとも、国家チームの首脳陣たちも、一人っ子政策で育った若手選手たちをムチの連打だけで鍛えられるとは思っていない。この軍事訓練に先立ち、国家チームの選手たちは12月9~11日まで、「東洋のハワイ」として人気がある中国南端の海南島でオフを過ごした。このような旅行は、過去にもあまり例がないのではないか。
 夜間のミーティングもなく、中国にありがちな交歓会もなく、国家チームには珍しい完全なオフ。ただし、7~8月には平均気温が30℃くらいの海南島も、12月はだいたい20~13℃くらい。選手たちもさすがに海に飛び込むわけにはいかず、海辺を散歩したり、温泉にゆっくりつかったり、部屋でトランプに興じたりと、思い思いの時間を過ごしたようだ。そして、その3日後には極寒の軍事訓練へ。何とも分かりやすい「飴とムチ」、沖縄のビーチから網走の刑務所へ行くような感覚かもしれない(?)。

Photo:軍事訓練は野外行進からスタート。これはアジア競技大会でのひとコマです…