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中国リポート

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 2010年もいよいよ年末。世界団体選手権にアジア競技大会、男女ワールドカップにワールドチームカップ、今年から新規開催のフォルクスワーゲンカップ、アジア・ヨーロッパオールスターズにアジアカップ、さらにITTFプロツアー…。国際大会も盛りだくさんの一年だった。そして今改めて考えてみると、2010年は「中国選手がよく負けた一年」だった。中国選手は同士討ちになるまで負けないというイメージだったのが、今年は例年になく外国選手に苦杯を喫する場面が多かった。
 実際に、今年度の主要な国際大会を振り返ってみると、外国選手に対して無敗を守り、2010年を終える中国の主力選手はひとりもいない。…唯一、陳杞だけが外国選手に負けていないが、プロツアー2大会にしか出ていないので、他の選手たちとは同列に扱えない。世界団体選手権に出場した男女5選手プラス、敬意を表して王励勤の、2010年の国際大会での敗戦歴を見てみよう。

★男子
馬龍:世界団体選手権決勝 2-3 ボル(ドイツ)
   男子ワールドチームカップ準々決勝 0-3 張一博(日本)
王皓:カタールオープン3回戦 2-4 柳承敏(韓国)
張継科:アジアカップ予選リーグ 2-4 高礼澤(香港)
    男子ワールドカップ予選リーグ 2-4 荘智淵(チャイニーズタイペイ)
馬琳:男子フォルクスワーゲンカップ2決勝 1-4 ボル
許シン:カタールオープン1回戦 1-4 徐賢徳(韓国)
    ドイツオープン3回戦 3-4 オフチャロフ(ドイツ)
王励勤:アジアvsヨーロッパ(アジアステップ) 2-3 メイス(デンマーク)

☆女子
郭炎:クウェートオープン 2-4 福原愛(日本)
   中国オープン準々決勝 3-4 金キョン娥(韓国)
郭躍:クウェートオープン2回戦 1-4 福原愛
   中国オープン3回戦 2-4 ション・イェンフェイ(スペイン)
   女子ワールドカップ準決勝 0-4 姜華君
   アジア競技大会団体予選リーグ 1-3 鄭怡静(チャイニーズタイペイ)
劉詩ウェン:世界団体選手権決勝 1-3 王越古/2-3 馮天薇(シンガポール)
      アジア競技大会団体準決勝 2-3 石賀浄(韓国)
李暁霞:アジアカップ予選リーグ 1-4 柳絮飛(香港)
    ワールドチームカップ準決勝 2-3 石賀浄
丁寧:世界団体選手権決勝 2-3 馮天薇

 こうして列記してみると、中国の絶対的な強さは失われたのか、とも思えてくる。特に女子は、これまで王楠や張怡寧といった、国際大会で敗れただけでひとつの「事件」になる女王がいたが、今年は意外なほどよく負けた。男子はサウスポー、女子は異質タイプの選手に敗れるケースが目立つ。
 …しかし、よく見てみると、本当に痛恨の敗戦と言えるのは世界団体選手権の女子決勝ぐらい。ワールドカップやアジアカップの予選リーグ、アジア競技大会やワールドチームカップの団体戦で敗れても、その後の大勢(たいせい)に大きな影響はなかった。そしてモスクワ大会の女子の敗戦にしても、国内では選手起用に対して批判の声が大きかったが、施之皓監督が監督の座を追われることはなかったし、批判の声もいつのまにか収まってしまった。「空気の入れ替え」のような印象だけが残った。

 プロツアーファイナルへの出場権を失うことを承知の上で、シーズン後半のプロツアーに主力選手をエントリーしなかった中国。「強すぎる中国」への風当たりが卓球界で強まる中で、中国は「強すぎる中国」であることを止めようとしているのか。五輪や世界選手権にしても、敗戦は決して許されないが、かつての勝敗操作のような勝利至上主義は陰を潜めている。ロンドン五輪に向けて、各国が助走から疾走へギアを入れ替える2011年。中国選手はどんな戦いぶりを見せるか。

Photo上:カタールオープンで徐賢徳に思わぬ敗戦を喫した許シン
Photo下:郭躍は4名の外国選手に敗れている