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中国リポート

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 2005年から、スロベニアの小さな街・ヴェレニエで毎年行われているITTFプロツアー・スロベニアオープン。今年も1月18~21日まで開催され、男子シングルスは21歳の許シン、女子シングルスは19歳の武楊が優勝した。
 決勝の李暁霞戦まで同士討ちがなかった武楊は、リー・ジャオ、李恩姫、呉佳多をすべてストレートで破る圧倒的な強さ。体格がかなりしっかりしてきており、中陣で反撃するフォアドライブの伸び、ズバリと切り下げるバックカットの変化は見事。決勝では李暁霞に最終ゲーム0-4と離され、中盤でも李暁霞にエッジとネットインが連続する苦しい展開だったが、鉄壁のカットで乗り切った。武楊はこれで郭炎に続き、世界選手権ロッテルダム大会の女子代表第2号に内定した。

 …実は昨年末に国家女子チームの施之皓監督が、国家女子チームの代表選考規定を発表していた。中国リポート担当も不勉強で、申し訳ありません。規定の中で、これまでお伝えしていなかった分を補足すると…。

1. ロッテルダム大会の代表選考会は、2回の「直通鹿特丹(ロッテルダム)」と5回のプロツアー(スロベニア・イングランド・カタール・クウェート・ドイツ)、合計7つの大会で構成される。
2. この7つの大会のうち、1つの大会で優勝した選手は、ロッテルダム大会の代表に内定する。2つ以上の大会で優勝した選手には、ロッテルダム大会の女子シングルスの出場権が与えられる
3. 「直通鹿特丹」の第2ステージは3月3~10日に行われる。第1ステージの上位16名が4つの予選グループに別れ、上位2名が準々決勝に進出。第2ステージまでに代表権を獲得している選手は出場しない

 国家1軍チームの上位選手には、プロツアーで外国選手を交えながら代表権を競わせ、下位の選手や若手には、「直通鹿特丹」で下剋上のチャンスを与えるシステムだ。この規定により、スロベニアオープンで優勝した武楊が代表第2号となった。国家チームが代表選考会を開催するようになった2006年以降、カット主戦型が自力で代表権を獲得するのは、男女を通じて武楊が初めてだ。

 武楊は1992年1月5日生まれ、山羊座のB型。長身でカット主戦型向きの選手に見えるが、『ピンパン世界』2010年6月号に掲載されたインタビューでは、「卓球を始めた時のコーチがカットマンだったから、自分もカットマンにさせられた。こんな難しい戦型になってしまって、海賊船に乗せられて下りられないようなもの」と実に率直な感想を述べていた。痩せてひょろひょろだったので、国家チームでは「ヤーチェン(つまようじ)」という、あまりありがたくないあだ名で呼ばれていたそうだ。プロツアー2回目の優勝で、もう少し良いあだ名に昇格できるかもしれない。

Photo:カットに強い選手にも勝てる武楊。超級リーグでは張怡寧を破ったこともある