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中国リポート

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 6月7日、北京の国家体育総局卓球バドミントン管理センターで、ロンドン五輪のシングルスにエントリーする男女各2名が発表。管理センターの劉風岩主任、国家男子チームの劉国梁監督、女子チームの施之皓監督らが出席した。発表された4名の選手は以下のとおりだ。(WR=11年6月分の世界ランキング)

〈男子〉王皓(WR1)、張継科(WR2)
〈女子〉李暁霞(WR1)、郭炎(WR2)


 ……サプライズはどこにもない。ロンドン五輪への推薦出場枠の獲得が伝えられた、国家男女チームのランキング上位2名である。なぜわざわざ記者会見を開く必要があったのか。劉国梁監督の次のコメントを読んでいただきたい。

「ITTFが世界ランキングの上位2名というから、上位2名を登録したまでだよ。実際には、これは1回目のエントリーに過ぎない。来年の5月10日(世界最終予選前のエントリーの最終期限)までなら、もし『特殊な状況』になれば、選手の交替は可能だ。
 皆さんもご存じのとおり、スポーツの世界にはいろいろと予想のつかないことがあるものだ。今回のエントリーを見て、選手たちが油断などしないと信じているし、エントリーから外れた選手も諦めないでほしい。まだ(来年5月まで)1年近くあるんだからね。その間に思いもよらないことが起こる可能性は、十分にあるよ」(劉国梁)


 相変わらず劉国梁節が全開。選手たちにやんわりと釘を刺すような表現が、随所に散りばめられている。ごく当たり前のエントリーに、ここまで勿体(もったい)をつけられるのも凄い。世界チャンピオンとなった丁寧がシングルスのエントリーから外れた女子チームも、施之皓監督が「これはあくまで最初のエントリー。丁寧を含めた他の選手たちにもチャンスはある」と述べている。

 中国は1988年のソウル五輪の際、当時世界ランキング1位で、ランキング推薦での五輪出場が可能だった何智麗(現:小山ちれ)をエントリーから外し、ランキングの低かった20歳の若手・陳静を起用。陳静が初代五輪女王に輝いた。この時はエントリーした選手を中国の中でチェンジすることができたが、今回の場合はどうなのか。大陸予選や世界最終予選の通過者のキャンセルなら、次点の選手に繰り上がりになるが、推薦出場枠を獲得した選手のキャンセルは記憶にない。

 なお、団体戦の三番手となる選手起用に関しては、両監督とも「全く未定」とコメント。劉国梁監督は「来年3月の世界団体選手権が重要な判断基準」と述べているが、それでは4月19~22日に香港で行われるアジア大陸予選のエントリーに間に合わない。どうにも虚々実々な記者会見だが、結局は規定のとおりに落ち着くのかもしれない。

Photo:王皓と張継科にも、決して油断をさせない劉国梁監督