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中国リポート

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■語文(国語)・小論文

 ロッテルダムでの世界卓球選手権で、中国はまたも全てのタイトルを独占した。この大会について、先生と学生が一緒に討論をした。

 学生Aの意見はこうだ。「素晴らしいことだよ、中国が金メダルを独占したんだから。地位も名誉も手に入れたっていうことだ。何といってもスポーツは実力の世界だからね」
 学生Bはこう言う。「もっと海外選手が中国選手に挑んでいくところが見たい。ひとつの国が強すぎる状態が続くと、スポーツの発展を阻害すると思う」
 学生Cのような意見もある。「中国は金メダルをひとつかふたつ、他の国に譲ったらどうかという人もいるけど、僕は賛成できないな。そういうやり方はスポーツの公平性にのっとっていないし、オリンピック精神にも背くものだ」

 議論を聞いていた先生は言った「君たちの言うことにはそれぞれ道理がある。それはスポーツの分野だけでなく、様々な分野に適用できるのではないかな」

 以上の文章から感じたことを、各自の観点に基づき、テーマを決めて800字以内で書きなさい。


 上は6月7~9日に中国で行われた全国大学統一入試で、北京市で出題された語文(国語)の問題である。800字以内で書く小論文の問題で、各省ごとにテーマは異なる。
 学生の誰かひとりの意見に賛同して文を書き進めても良いし、最後の先生の発言のとおり、学生たちの議論を他の分野に当てはめて論じても構わない。統一入試の問題にスポーツが登場するのは異例で、北京市では2002年に小論文の問題でサッカーのワールドカップが登場して以来、2回目だという。

 卓球が統一入試の問題に登場したことを知った、国家男子チームの劉国梁監督は次のようにコメントしている。「卓球にとってはとても良いことだし、その影響力の大きさを示していると思う。卓球に関する話題が社会的な関心を集め、スポーツとしての卓球の範疇(はんちゅう)をすでに超えているということだ」。強すぎるゆえに人気の低迷に悩む中国卓球界が、受験生にアンケートを取るために入試問題に忍び込ませたような内容だが、受験生の回答には貴重なヒントがあるかもしれない。ぜひ読んでみたいものだ。

 通称「高考(ガオカオ)」と呼ばれる全国大学統一入試。中国には各大学や専攻ごとの入学試験がなく、受験生全員がこの統一入試を受ける。人生を決める運命の二日間だ。受験生は志望校の合格ラインとなる得点を目指して猛勉強に励む。名門校が多い重点大学が2校、その他の大学が2校など、いくつかの大学を併願できるが、重点大学となると入学への道は限りなく険しい。都市部の大学では、地元の学生と地方の学生で合格ラインの点数に大きな差があったり、スポーツや芸術などの一芸が認められると合格ラインが下がることもある。今年は全国で933万人が受験、合格者数は670万人という、何ともスケールの大きな試験なのだ。

Photo:ロッテルダム大会で、4大会連続の5種目完全制覇となった中国。写真は混合ダブルス表彰(上)と女子シングルス表彰(下)。あなたなら、この問題にどのような回答を書きますか?