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中国リポート

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 1961・63・65年世界選手権3連覇、世界の卓球史にその名を刻む伝説の名選手・荘則棟(ジュアン・ヅェトン)。2008年にガンで入院し、二度の手術を経て現在も抗ガン治療を続けているが、70歳にしてブログで健筆を振るい、6月26日には北京を訪問した「外交の達人」ヘンリー・キッシンジャー(元米国務長官)を囲むパーティにも出席。元気な姿を見せている。

 同時に荘則棟は今、卓球とは違う、もうひとつのコートでも戦いを強いられている。日本語でコートといえば卓球やテニスのコートのイメージだが、英語で「court」といえば裁判所のこと。中国が抱える積年の社会問題、知的財産権の侵害を巡って、荘則棟は現在闘争中なのだ。
 荘則棟・佐々木敦子夫妻が訴えを起こしたのは今年4月のこと。1998年に荘則棟が出版し、60万部を超えるベストセラーになった『トウ小平が我々の結婚に同意してくれた(トウ小平批准我們結婚)』が、違法なオーディオ・ブック(朗読を録音したもの)となり、無料ダウンロードサイトにアップされていたというのだ。アップされていたのは中国では有名な「VeryCD」というサイト。新作の映画やドラマ、CDなど、なんでも無料でダウンロードできるため、中国国内のサイトの中ではトップクラスの人気を誇っている。連続ドラマでも初回から最終回まで、バッチリダウンロードすることができる(筆者はしたことはアリマセン)。

 昨年、何人かの友人から「VeryCD」に自著のオーディオ・ブックがアップされていることを教えられた荘則棟。実際にそれを確認して仰天し、今年4月に「VeryCD」を運営する上海隠志網絡科技有限公司に対し、コンテンツの削除と53万元(約650万円)の賠償金を求める訴えを起こした。荘則棟自身は体調が思わしくないため、第一審の法廷には佐々木敦子夫人が出席している。
 「著作権を侵害したのはアップした人間であって、社員でもないその人間に対して、VeryCDが責任を負う理由はない。当社は一度も著作権を侵害したことはない」というのが上海隠志網絡の主張。そして第一審では荘則棟側が敗訴。上海第一中級人民法院に控訴した荘則棟は、裁判の費用として8万元、日本円にして約100万円を費やしているという。

 荘則棟は自身のブログで、「今回の裁判と判決を通じて、中国のネット社会にはびこる著作権侵害に警告したい。法律が正しく我々の著作権を守るものであってほしい」と述べている。コートでの闘争心はまだまだ健在だが、本業の前陣速攻に比べると苦しい戦いを強いられそうだ。

↓荘則棟のブログはこちら。最近の写真もあります(新浪BLOG)
http://blog.sina.com.cn/zhuangzedongblog