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中国リポート

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 12月10~16日まで、山東省・臨沂(リンイー/りんぎ)市で「2011年全国青年選手権」が行われた。当初は10月30日~11月6日に行われる予定だったこの大会。世界ジュニアなどの影響で2回も延期され、ようやく開催の運びとなった。
 中国各地から18歳以下の選手400余名が出場した「全国青年選手権」。意外にも今回が初開催だという。現在でもジュニア選手の選抜大会である「全国優秀青少年調賽」や、15歳以下の「全国少年選手権」、4年に1回開催される「全国城市運動会」などがあるが、さらに若手の育成に力を注ぐということか。ちなみに臨沂市は、かの三国時代の名軍師・諸葛亮(しょかつりょう)、著名な書家である王義之(おうぎし)や顔真卿(がんしんけい)を輩出した地。青年選手権の開催地には、いかにもふさわしいところだ。

 男女団体と男女シングルスの4種目が行われたこの大会。男子シングルスを制したのは馬特(マァ・テ/内蒙古自治区)。決勝で優勝候補筆頭の閻安(北京市)にストレート勝ちし、予想外の優勝を果たした。94年生まれの17歳で、09年5月にはすでに国家2軍チームの一員になっているカットマンだが、日本の卓球ファンにはあまりなじみがない名前かもしれない。まだカットの基礎レベルがやや低い印象があるが、長身で懐が深く、攻守兼備の朱世赫タイプのカットプレーを見せる。内蒙古自治区出身で国家チーム入りを果たしたのは、奇しくも同じスタイルの陳衛星(オーストリア)以来となる。

 女子シングルス優勝は朱雨玲(四川省)。決勝の相手は世界ジュニア決勝で敗れた陳夢(山東省)だったが、ゲームカウント2-0から2-2に追いつかれながらも、勝負どころで冷静なプレーを見せ、リベンジを果たした。来年は国際大会への出場も増えそうな朱雨玲と陳夢。劉詩ウェンと丁寧のようなライバル関係を築いていくかもしれない。また、ジュニア男子団体は層が厚い河北省、ジュニア女子団体は陳夢と顧玉ティンの2トップが強力な山東省が優勝している。

 この大会で1・2位に入った選手は国家2軍チームへの招集が発表されていたが、決勝に進んだ4名はいずれも国家チームのメンバーだった。ベスト16以上の男子選手は、12月24日から2月11日まで、江蘇省南通市の通州訓練基地で長期の集合訓練に入る。特に男子は、以前に比べるとやや層が薄くなってきた感がある中国。ジュニアクラスの実力の底上げを図る構えだ。

Photo上:激しい前陣攻撃の中にもクレバーな一面を見せる朱雨玲
Photo下:世界ジュニア4冠の陳夢は準優勝