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中国リポート

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 ロンドン五輪・アジア大陸予選のAトーナメント代表決定戦で、丹羽孝希(青森山田高)に2-4で敗れた馬龍(中国)。世界ランキング1位の馬龍と19位の丹羽。そのランキングの差以上に、卓球界に与えたインパクトは大きい。

 Dトーナメントでアチャンタ(インド)に完勝し、柳承敏(韓国)とともに3・4番目で代表権を獲得した馬龍。丹羽戦について、こう振り返っている。
 「丹羽との試合はかなり緊張してしまって、試合の序盤はプレーが慎重になりすぎ、技術面でも戦術面でも単調だった。メンタルを良い状態に持っていけなかった。プレーの出来は40~50%、自分の持ち味が全く出せなかったと言ってもいい。どう戦っていいのか、どうやったら得点できるのか、わからなくなった」(馬龍/出典『新浪体育』)。

 世界ランキング1位、しかもこの半年ほど絶好調だった馬龍のコメントとは思えないが、今回のアジア大陸予選では他にも番くるわせが相次いだ。男子Aトーナメント代表決定戦で柳承敏が梁柱恩(香港)に敗れ、女子Aトーナメントでは平野早矢香(ミキハウス)がコムウォン(タイ)に、石賀浄(韓国)がヌグエン(ベトナム)に敗れている。世界団体選手権で大舞台を踏んだばかりのトップ選手たちにとっても、五輪予選のプレッシャーは相当なものがあったようだ。

 「今回の試合方式は4ゲーム先取の7ゲームスマッチ。自分には有利だと思っていたけど、全然違っていた。丹羽戦についていえば、あんなプレーでは5ゲーム先取の9ゲームスマッチだって勝てはしない。今回の試合で生じた精神面の問題について、真剣に反省し、分析しないといけない」(馬龍)。
 敗者復活戦が続く、特殊な試合方式のアジア大陸予選だが、もし一発勝負のトーナメントだったら、世界ランキング1位が予選敗退の憂き目にあっていた可能性もある。国家チームの首脳陣にしてみれば、浅い傷で済んでよかったというのが本音か。ロンドン五輪を戦う中国男子チームは、王皓・張継科・馬龍の3名でほぼ確定。圧倒的な技術力を誇る一方で、精神面に一抹の不安を残す顔ぶれでもある。

photo:世界団体選手権の表彰式での馬龍(上)。栄光の「CHN 1」を背負い(下)、出場した全試合でストレート勝ちを収めたが、五輪予選に思わぬ落とし穴が待っていた