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中国リポート

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 5月11日、国家体育総局の卓球・バドミントン管理センターは、ロンドン五輪・卓球競技に派遣する中国代表メンバーの最終発表を行った。男子は王皓、張継科、馬龍。女子は李暁霞、丁寧、郭躍。女子は昨年5月、世界ランキングによる推薦出場枠を獲得していた郭炎と丁寧がエントリー変更された。
 郭炎がエントリー変更になった理由は故障。国家卓球チーム・ドクターグループの尚学東チーフによれば、郭炎の故障箇所は「右ひじ部分の伸筋腱、および外側・側副靱帯の部分断裂」。すでに練習や試合でプレーを行うことは困難な状況だという。

 今年1月から徐々に悪化していったという郭炎の右ひじの故障。「アジア選手権前の広東省中山市の集合訓練ではかなり悪化していた。針を打ち、様子を見ながら練習するしかなかった。世界選手権前のWSA(ウェルナー・シュラガー・アカデミー)での直前合宿では、痛みが相当ひどくなっていたようだ」。国家女子チームの施之皓監督もそうコメントしている。早期回復のためには手術するほかないが、ロンドン五輪までの残り時間を考えると、手術にはふみきれない。
 「郭炎もすでにチームの決定を受け入れ、現在はコーチに近い形でチームのために貢献してくれている」(施之皓)。

 丁寧の五輪出場に対して、「エントリー変更」という表現だと誤解が生じるかもしれない。世界ランキング2位で五輪への推薦出場枠を獲得していた郭炎が、出場をキャンセルしたことで、同3位の丁寧に出場枠が繰り下がった形だ。これで丁寧は女子シングルス・団体の2種目に出場。世界ランキング1位の丁寧に五輪シングルス金メダルへの道が開けた。一方、アジア大陸予選を通過した郭躍は、自力で代表権を獲得しながら、出場できるのは団体戦のみとなる。

 ドルトムントでの世界団体選手権では、開幕前日の全体練習に姿を見せず、第1戦ではベンチにも入らなかった郭炎。第2戦のウクライナ戦でコートに立った時、その右ひじには「これ見よがし」なほどガチガチのテーピングが巻かれていた。それでいて郭炎を準決勝の香港戦を含め、4試合に出場した。あくまで郭炎をロンドン五輪に派遣するつもりなら、無理はさせないのが普通だろう。
 中国のネット上でも郭炎の故障については疑問の声が上がっている。微博(マイクロブログ)には「エントリー変更が発表された日の午前中、郭炎がトレーニングルームでトレーニングしているのを見た」という書き込みもあったという。

 丁寧と郭炎、両選手のコメント等ものちほどお伝えします。

photo上:世界団体選手権での郭炎のプレー。右ひじ外側のテーピングが目を引いたが、プレー自体にはそれほど支障はなさそうだった
photo下:北京市チームの先輩である郭炎に替わり、ロンドン五輪出場となった丁寧