スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 5月16~20日、韓国・仁川で行われたITTFワールドツアー・韓国オープン。男女シングルス・ダブルスの4種目で中国がタイトルを獲得したが、男子シングルスに波乱があった。世界ランキング1位の馬龍が、2回戦(ベスト8決定戦)で李尚洙(韓国/世界ランキング60位)に1-4で完敗を喫した。

 地元ファンの大声援をバックに、威力と切れ味を兼ね備えた両ハンドドライブで積極的に攻めた李尚洙。一方の馬龍はフォアハンドの手数が減り、レシーブでも積極性を欠いた。心にも体にも、小さな鉄球が鎖でつながれているかのように、精彩を欠くプレーだった。双子の弟にしては卓球がうますぎるが、本人にしては弱すぎる。五輪アジア予選の丹羽孝希戦に続く、まさかの敗戦。馬龍の魔法は解けてしまったのか。

 「これはとても深刻な問題だよ」。国家男子チームの劉国梁監督も、馬龍の不調には厳しいコメントが続いた。「この数年、馬龍は突如としてプレーを乱すことが何度もあった。格下の選手に不可解な負け方をしてしまうんだ。この問題はより深く分析していく必要があるだろう」(劉国梁)。

 数ヶ月前までは出る試合すべて連戦連勝、無敗を誇った馬龍。しかし、本当に大事な大会でまだ勝っていない。4年に1度の五輪は別としても、世界選手権やワールドカップではタイトルを獲っていてもおかしくない、いや獲っていなければならない選手。ドルトムントでの世界団体選手権決勝では、2番でオフチャロフに快勝したが、トップでボルに逆転負けした10年モスクワ大会決勝の雪辱というには、まだもの足りない。国家チームの首脳陣の評価も、トップでボルとの接戦を制した張継科のほうが高い。しかも張継科は自らトップでの出場を志願し、結果を残しているのだ。

 おとなしく、コーチに逆らわないことで有名だった馬龍と、国家チームの規則違反で一時は省チームに戻され、ウェアを引きちぎったりタトゥーを入れたりと、何かとお騒がせな張継科。そのふたりが、勝負の世界では次第に明暗を分けつつある。馬龍の巻き返しはあるのか。昨日23日から上海でスタートしたITTFワールドツアー・中国オープンでの、馬龍のプレーに注目だ。

photo上:重戦車・馬龍、急ブレーキか
photo下:馬龍を破った李尚洙。勝利を決めた最後の一本、バックストレートへのカウンタードライブは驚異。しかし、続く3回戦で張一博に敗れた