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中国リポート

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 昨日2月18日に終了したITTFワールドツアー・クウェートオープン。中国語では「科威特(クウェート)公開賽(オープン)」。中国は開催された男女シングルス&ダブルスの4種目を完全制覇したが、選手一人ひとりを見てみると、泣く者あり、笑う者ありという「悲喜こもごも」の結果だった。

 まず男子シングルス。前回のオーストリアオープンで高木和卓(日本/東京アート)に敗れた張継科が、男子シングルス1回戦でまたも大苦戦。試合が行われた2月16日は張継科の25歳の誕生日。スカッと1・2回戦を突破したいところだったが、初戦でいきなり香港の黄鎮廷(ウォン・チュンティン)にゲームカウント1−3とリードを許し、結局ゲームオール12−10での辛勝だった。黄鎮廷は巧みなサービスと裏面ドライブを操る右中国式ペンドライブ型だが、予選リーグでウラソフ(ロシア)、本戦進出の決定トーナメントでは森薗政崇(日本/青森山田高)に敗れている選手だ。
 その後も準々決勝でシュテガー(ドイツ)に4−2と競り合うなど、本調子にはほど遠かった五輪&世界王者が、決勝で天敵・馬龍を4−1で圧倒して優勝してしまうのだから、まるで「死んだふり作戦」。爆発力と表裏一体のこの危うさが張継科の魅力だが、また劉国梁監督にチクリとやられそうだ。

 そして今回の中国選手団で、最大の悲哀を味わったのが方博だろう。オーストリアオープンでのワールドツアー初優勝で、世界ランキングを74位から24位までジャンプアップさせながら、男子シングルス2回戦でカットの姜動洙(カン・ドンス)にゲームオールで敗れ、中国男子で最も早く姿を消してしまった。先輩の王皓と組んだダブルスでも、趙彦来/鄭栄植(韓国)に予選トーナメントで惜敗している。
 オーストリアオープンの優勝後、微博(マイクロブログ)で「首脳陣の方々が、ぼくに生まれ変わるチャンスを与えてくれたことに感謝します」とコメントしていた方博。…完全に生まれ変わるまでは、まだ時間がかかるかもしれない。

 一方の女子シングルスは、中国にとっての最大のトピックスは、準決勝で丁寧が馮天薇(シンガポール)にゲームオールで敗れたこと。実は丁寧、2010年世界団体選手権・決勝で馮天薇に敗れて以来、およそ2年9カ月に渡って外国選手には負けていなかった。これは最強軍団・中国女子といえども特筆すべき記録だったのだが、記録をストップしたのはまたも馮天薇だった。
 中国女子は、今回の中東でのワールドツアー2大会(クウェート&カタール)で連続優勝した選手には、世界選手権パリ大会のシングルスの出場権が与えられる規定。「直通巴黎(直通パリ)」の第1ステージで惜しくも出場権を逃した丁寧や朱雨玲にとっては出場権獲得のチャンスだったが、クウェートオープンではすでにパリ大会の出場権を得ている劉詩ウェンが優勝。中東からのパリ大会出場の道は、残念ながら閉ざされてしまった。
  • 2013年はなかなか成績が安定しない張継科