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中国リポート

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 昨日9月30日、四川省成都で閉幕した女子ワールドカップ。
 デザインコンテストで選ばれたウェアを身にまとったモデルたちのファッションショー、過去最高額の優勝賞金など、試合以外の部分でも大いに注目を集めた大会となった。その模様は本誌12月号でも詳しく紹介するが、ここでは参加した選手たちの顔ぶれに注目してみたい。
 ワールドカップは五輪チャンピオン、世界チャンピオンに6大陸の代表6人、世界ランキングによる選出6人、そしてITTF推薦の2人を加えた計16人で優勝を争う。今大会はなんとITTF推薦以外の14人の選手のうち、13人を中国および中国からの帰化選手が占めた。そして、出場した13人の中国選手を出身地別に分けてみると、ひとつの特徴が浮かび上がってくる。

[遼寧省]王楠/郭躍/王越古(シンガポール)
[北京市]張怡寧/リ・ジャウェイ(シンガポール)/リュウ・ジャ(オーストリア)/ウー・シュエ(ドミニカ共和国)/王晨(アメリカ)
[天津市]ミャオ・ミャオ(オーストラリア)
[山東省]姜華君(中国香港)/リー・ジャオ(オランダ)
[河南省]帖雅娜(中国香港)
[湖北省]ヤン・フェン(コンゴ民主共和国)

 手元に中国の地図があったら眺めていただきたいが、ほとんどの選手が中国の北部、東部の出身だ。かつて多くの世界チャンピオンを輩出した上海市、李菊・楊影・孫晋らを生んだ江蘇省にかつての面影はなく、四川省、広東省、福建省なども元気がない。中国の卓球界は、女子に関しては完全に北高南低の状態だ。今回出場しなかった前回チャンピオンの郭炎は北京市、世界ランク5位の李暁霞は遼寧省の出身で、遼寧省と北京市が人材の供給地になっている。

 張怡寧、リ・ジャウェイ、リュウ・ジャ、ウー・シュエは北京市チームのチームメイト。台湾の人気アイドルグループF4になぞらえて「北京卓球界のF4」と呼ばれている。張怡寧の存在が、他の3選手に海外への移住を決意させたということだろうか。
 しかし、16人中13人というのは、いくら中国の卓球ファンといえども興味が削がれるだろう。残念ながらヨーロッパには中国に対抗しうる国は存在しない。やはりアジアの日本・韓国が奮起するほかはないのか…。

Photo:北京市から海外へ移住した3人の選手、上からリ・ジャウェイ、リュウ・ジャ、ウー・シュエ。左ペンドライブ型のウー・シュエは07年ラテンアメリカ選手権優勝