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中国リポート

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  ワールドチームカップでは、1点の失点も許さずに完璧な優勝を飾った中国女子。ゲームオールにもつれた試合は数試合あったものの、敗れる気配はまったく感じられない。
 エントリーした4人は、世界ランキングの1~4位を占める張怡寧・郭躍・王楠・李暁霞。もうすぐ29歳になる王楠、大会期間中に26歳の誕生日を迎えた張怡寧、ともに19歳の郭躍・李暁霞と、中国女子チームにしては珍しく年齢の幅が広い。王楠・張怡寧の経験と円熟、郭躍・李暁霞の若さと爆発力、まさに史上最強メンバーのように思えてくる。

中国リポート2007/07/02「フォルクスワーゲンオープン中国大会が閉幕」でも述べたが、女子チームの強みはなんといっても、張怡寧/王楠と郭躍/李暁霞という超・強力なツインダブルスがいる点だ。そのため、張怡寧と郭躍は確定といわれる五輪代表の3番手に、王楠を起用しても、李暁霞を起用しても、ダブルスの心配はしなくても済む。
 ザグレブ大会以降の王楠と李暁霞の成績を比較すると、フォルクスワーゲンオープン荻村杯、女子ワールドカップを制した王楠に対し、李暁霞はフォルクスワーゲンオープン中国大会で金沢咲希(日本生命)に敗れるなど、やや精彩を欠いている。若い選手を積極的に起用する中国とはいえ、球史に残る女王・王楠の引退の花道として、北京五輪はこの上ない最高の舞台になるはず。現時点では、王楠が李暁霞をややリードしていると見ていいだろう。
 世界ランク5位の郭炎はディフェンディングチャンピオンでありながらワールドカップの代表から外され、今回のワールドチームカップにも帯同しなかった。プロツアーでも優勝に恵まれておらず、五輪代表になる可能性はかなり低そうだ。

 大きなプレッシャーがかかる北京五輪でも、その絶対的な優位は揺るぎそうにない中国チーム。中国では誰もが「卓球は金メダルを獲って当然だ」と考えている。
 しかし、コーチにとっても選手にとっても「義務づけられた勝利」ほど、苦しいものはあるまい。勝利の輝きはまるで「引き分け」と同じくらいにまで薄められ、歓喜は安堵へと変わり、敗北の衝撃は計り知れないものとなる。
 もし中国が金メダルを逃すような事態になるとしたら、敗因の半分は相手選手の実力、残りの半分はプレッシャーによる自滅、ということになるだろう。

Photo上/中:ザグレブ大会で決勝を戦った張怡寧/王楠と郭躍/李暁霞。この時は張怡寧/王楠が勝ったが、最近の対戦成績は郭躍/李暁霞がややリードしているか
Photo下:ワールドカップで4回目の優勝を飾った王楠。北京五輪出場へのプレッシャーの中、表彰台でも笑顔は見られなかった